映画「えんとつ町のプペル」を大ヒットに導いたオンラインサロンは信者ビジネスなのか?:専門家のイロメガネ(5/5 ページ)
映画「えんとつ町のプぺル」がヒットした背景には、西野氏が率いる「オンラインサロン」がある。7万人以上が参加するオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」は映画のヒットにも寄与したといわれているが、サロンを活用した集客・マーケティングは賛否も呼んだ。このオンラインサロンの実態とは?
オンラインサロンでトラブル増加中?
オンラインサロンには、何かデメリットや問題点はないのだろうか。詐欺や悪徳商法に詳しいジャーナリストの多田文明氏によれば、国民生活センターへの取材でオンラインサロンに関するトラブルの相談は増加傾向にあることが分かったという。
多田氏が紹介するトラブルは、サロン入会時に高額な入会金を取られた、辞めたくても辞められない、知人を加入させると紹介料を払うサロンがあって強引に勧誘された、といった内容だ。
高額な入会金や辞められないといった条件については、一般的なオンラインサロンであれば入会金はゼロ、会費は数千円から高くても1万円程度、退会に条件がつくことも通常は無い。
紹介料については、タクシーアプリやウーバーイーツのようなデリバリーアプリでも友人・知人を紹介するとクーポンがもらえる仕組みがある。紹介料自体に問題はないが、それを目的に強引な勧誘をする参加者がいるようなサロンは問題だ。違法でなくてもこういった仕組みが嫌だという人もいるだろう。
いずれもオンラインサロンの仕組みに問題があるわけではなく、問題のあるサロンも存在している、といえる。
オンラインサロンのリスクとは?
しかし、これらのケースとは別の部分で、オンラインサロンはトラブルが発生するリスクをはらんでいる。
サロンの内容がつまらなかった、役に立たなかったということであれば、これも本やゲームがつまらなかった状況と同じで、問題があるとまではいえない。ただ「約束していたコンテンツが提供されない」というトラブルは起こり得る。
似た事例として「有料のメールマガジンで、毎週メルマガが送られてくるはずが月に一通しか届かなかった」といったトラブルがある。つまり約束していたコンテンツが提供されなかったというものだ。
オンラインサロンは個人が運営していることも多く、なおかつ気軽に始められる仕組みになっていることから、運営体制が整っていない事が原因のトラブルはあり得る。
これは小説や漫画や映画のように購入時に完成しているモノを買うのではなく、今後作られるテキストや動画などが定期的に届けられる、あるいは会員限定のセミナーやイベントに参加できる、つまり「契約時に完成していないコンテンツを将来にわたって継続的に購入する」という仕組みであるオンラインサロンの構造的なリスクだ。
田端大学であれば、主催者の田端氏が病気やケガで突然入院でもしてしまえば、これまで通りのサービスは提供できない。これは突然の中止もあり得るコンサートチケットと同じようなリスクだ。企業が組織で運営しているサロンならばこういったトラブルは起こりにくいが、それでもリスクはゼロではない。
利用者としても運営者としてもオンラインサロンには大きな魅力があることは間違いない。オンラインサロンというまだ新しいサービスが今後どうなるか注目したい。
※オンラインサロンの参加人数・費用は執筆時点の情報
企画協力:シェアーズカフェ・オンライン
筆者プロフィール:但馬薫/ウェブマーケター
2013年京都大学文学部卒業。学生出産を経て、大学卒業後はフリーランスとしてWebマーケティングを開始。企画立案から広告運用、SEO、サイト制作、ライティングまで幅広く提供。「売りたい」商品ありきではない多角的なアドバイスを行う。在宅でゴリゴリ働きながら子育てと仕事の両立に奮闘中。
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