映画「えんとつ町のプペル」を大ヒットに導いたオンラインサロンは信者ビジネスなのか?:専門家のイロメガネ(4/5 ページ)
映画「えんとつ町のプぺル」がヒットした背景には、西野氏が率いる「オンラインサロン」がある。7万人以上が参加するオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」は映画のヒットにも寄与したといわれているが、サロンを活用した集客・マーケティングは賛否も呼んだ。このオンラインサロンの実態とは?
ビジネス系のオンラインサロンで行われていること
次に「スキル/知識習得型」。このタイプのサロンでは、主宰者そのものよりそこで提供されるコンテンツに価値がある。
例えばコンサルティング会社の経営者、山口義宏氏が運営する「マーケリアルサロン」(月額7800円 約300人加入)では、テーマがマーケティングに絞られている。山口氏は自身の著書もありビジネスマンとしても有名だが、サロンの紹介ページではハッキリと「マーケティングを学べる」という強みに焦点を当てている。
ただ、スキル/知識習得型のサロンをファンクラブ型のサロンと明確に切り分けることは難しい。初めはスキルを身につけたいと思って参加した人が、そこでのコミュニケーションを通じて主宰者のファンになることもあり得るし、もとからファンだった人が加入することもある。
Twitterで炎上キャラとして有名な田端信太郎氏が主宰する「田端大学」(月額9800円、約300人加入)は筆者も運営に協力しているサロンだ。インフルエンサーとしての田端氏にひかれて参加する人と、LINEやZOZOなどで培ったビジネススキルを学ぶために参加する人の両方がいる。
田端大学のコンテンツは複数あるが、メインのコンテンツは、塾長である田端氏が課題図書を選定してお題も設定し、参加者はお題に沿ってプレゼンテーションを行うというものだ。このプレゼン大会は毎月開催されてその様子は参加者全員がオンラインで視聴可能、MVP(1位)になるとその後の参加費は無料という賞品まで設定されている。
オンラインサロンは情弱ビジネスと揶揄(やゆ)されることもあるが、田端氏は「情弱ビジネスはやらない」と明言する。実際、参加者が最初の課題として行う自己紹介の書き込みに対して「あなたの価値って一体何? 全然伝わらない」「これであなたにお金払う人なんているの?」と、ファンクラブ的なつもりで参加した人ならば一発で心が折れるようなコメントをぶつける。
オンラインでピラティスを提供する「関清香オンラインピラティス道場」(月額5000円、約230人参加)の主催者である関清香さんは元々田端大学出身で、コロナ禍も影響してか開設当初から人気のサロンとなっている。関さんはサロン開設にあたって田端氏に相談をしたというが、サロンでの学びや運営を間近に見てきた経験も役立っていることだろう。
そして3つ目は「同業者コミュニティ型」。共通の業種、あるいは共通の趣味・嗜好(しこう)の人々が集まって形成されるコミュニティだ。この場合にはコミュニティそのものに価値があり、主宰者が誰かはあまり重視されない傾向がある。例えば、弁護士だけのコミュニティや、科学好きのためのコミュニティなどがある。
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