「寿司業界」にこそ、日本経済復活のヒントがある理由:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
新型コロナの感染拡大を受けて、「倒産」の言葉をよく耳にするようになった。寿司店も例外ではなく、小・零細店を中心に倒産件数は高水準で推移している。「まあ、仕方がないよ」と思われた人も多いかもしれないが、筆者の窪田氏は前向きに受け止めているという。どういうことかというと……。
寿司業界は危機に強い
今回の倒産件数とともに、東京商工リサーチが出した「すし店の倒産年度推移」を見てみると、01年の43件から05年の51件、11年の40件、12年の41件などと10年以上、30件以上が当たり前で推移してきた。それが13年の27件からはやや低くなってこの7年間が30件以下が続いてきた。
つまり、もし20年度の倒産件数が最終的に30件を超えてしまっても、この20年間の推移のなかでは、それほど驚くような数字ではないということなのだ。
コロナ禍という人類が直面したことのない未曾有(みぞう)の危機。しかも、政府や自治体の飲食店支援が不十分だと言われているにもかかわらず、倒産件数を30台で抑えていることは、見ようによっては「寿司業界は危機に強い」とも言えるのだ。
もちろん、これは個々のお店が血の滲(にじ)むような努力をされた結果であることは言うまでもない。倒産していなくても、売り上げが激減して、従業員の給料も払えないほど経営が苦しい寿司店もたくさんいるだろう。
しかし、その一方で、「高級鮨が盛況! 高額品が売れる“プレミアム消費”」(テレ朝ニュース 2020年12月27日)というニュースでも扱われているように、海外旅行などに費やされていたお金が入ってきたり、コロナで新客が獲得できたりという寿司店が存在するのも事実だし、過去最高売上を叩き出したスシローのようにデリバリー路線を強化したことで、好調に推移している寿司店もあるのだ。
そのような意味では、サラリーマンが夜の街から消えて大打撃を負っている居酒屋、クラブ、キャバクラなどの業態より、遥かに「危機」に対応できている店が多いのだ。
関連記事
- なぜ「すしざんまい」は、マグロの初競りを自粛したのか
マグロの初競りで一昨年は3億3360万円――。驚くような落札額で世間をにぎわせてきた「すしざんまい」(運営:喜代村)が、今年のマグロ初競りを自粛した。なぜ自粛したのかというと……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - “売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
魚のサイズが小さかったり、見た目が悪かったり――。さまざまな理由で市場に出荷されない「未利用魚」を積極的に仕入れ、宅配寿司のネタにしているところがある。しかも、20年も売れ続けていて……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 時短せず「ノーマスク」で接客する店も 「ナメんじゃねーよ!!」と怒る“反逆飲食店”の言い分
緊急事態宣言を受け、時短や休業要請がされている。しかし、通常営業を続ける“反逆飲食店”も存在する。支援金などの制度を実情に沿った形に改善すべきだと筆者は主張する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.