「寿司業界」にこそ、日本経済復活のヒントがある理由:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
新型コロナの感染拡大を受けて、「倒産」の言葉をよく耳にするようになった。寿司店も例外ではなく、小・零細店を中心に倒産件数は高水準で推移している。「まあ、仕方がないよ」と思われた人も多いかもしれないが、筆者の窪田氏は前向きに受け止めているという。どういうことかというと……。
日本経済復活のヒント
では、そんな寿司業界の強さが、なぜ「日本経済復活のヒントになる」のかというと、「小規模・中小企業の減少」が急速に進行しているのに、市場規模も緩やかに増加するなど堅実な成長を遂げているからだ。
ご存じのように、人口減少、少子高齢化がすさまじいペースで進行している日本では、「小規模・中小企業の減少」が大きな課題だ。
これは「下町ロケット」的な世界に誇る技術力があるとかないとか、日本の職人文化うんぬんという話ではなく、ごくシンプルに労働人口と、国内市場が急速に縮小しているからだ。それを解決するのがDXだ、ロボットだ、AIだという話になりがちだが、ロボットやAIは酒も飲まなければ、食事もしないし、服も買わない。「消費」をしないのだ。
そういう内需縮小国で、最も苦しい戦いを強いられていくのが、小規模・中小企業であることは言うまでもない。実際、1999年には483万あった小規模・中小企業は、2016年になると357万社と、17年間で126万の事業者が消えている。
日本商工会議所なんかに言わせると、これが日本の地方経済を衰退させている「元凶」なのだという。
小規模・中小企業が減ると、そこで働く人たちが路頭に迷うので、地方の経済は大打撃を受ける。だから、とにかく小規模・中小企業を倒産させてはいけない。労働者の賃金はできるだけ低くなくてはいけないし、小規模・中小企業が喜ぶ優遇策や助成金をじゃんじゃん出すことが、日本経済復活の第一歩――。というわけで、日本ではこの半世紀、小規模・中小企業の「保護政策」が続いてきた。
しかし、ご存じのように日本経済はさっぱりだ。小規模・中小企業をどんなに手厚くサポートしても、賃金を先進国でありえないほど低い水準にビタッと定着させても、生産性が低下するだけで、東京など一部の都市部を除いて、地方経済はどこも疲弊している。
つまり、日本商工会議所が地方経済の衰退の「元凶」だと主張する「小規模・中小企業の減少」を食い止めても、残念ながら日本経済的にそれほどいい効果が出ていない。むしろ、「悪化」している部分もあるのだ。
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