「寿司業界」にこそ、日本経済復活のヒントがある理由:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
新型コロナの感染拡大を受けて、「倒産」の言葉をよく耳にするようになった。寿司店も例外ではなく、小・零細店を中心に倒産件数は高水準で推移している。「まあ、仕方がないよ」と思われた人も多いかもしれないが、筆者の窪田氏は前向きに受け止めているという。どういうことかというと……。
答えは「寿司業界」に
では、どうすればいいのか。その答えが、「寿司業界」にある。
先ほどから申し上げているように、寿司は「危機」にも強いし、ポテンシャルもあるので、やりようによっては内需縮小に対応できる。しかし、一方で長きにわたって深刻な「小規模・中小企業の減少」が進行してきた業界でもあるのだ。
総務省「平成16年事業所・企業統計調査」によれば、2001年(平成13年)の寿司店の事業所数は3万9539で、そのうち70.5%が個人経営だった。
元気寿司やかっぱ寿司などで一部チェーンもあったが、まだこの時代、寿司屋といえば「町の小さなお寿司屋さん」が主流だったのだ。
しかし、時代はゆっくりではあるが確実に変わっていく。04年(平成16年)になると事業所数は3万4877に減少し、個人経営は68.9%となる。そして、総務省「経済センサス」によれば、09年(平成21年)の寿司店の事業所数は2万8865で個人経営は63.8%。さらに、14年(平成26年)には、2万4069にまで減少して、ついに個人経営は6割をきって59.7%にまで落ち込む。
いわゆる「回転寿司4強」時代の到来に向けて、「町のお寿司屋さん」の大淘汰が進行していたのだ。
現在、回転寿司業界は、スシロー、かっぱ寿司、くら寿司、はま寿司という大手チェーン4社の売り上げで市場の7割以上を占めているが、この勢力図が完成するまで、「地場の回転寿司チェーン」がバタバタとなぎ倒されていった。業界の統合・吸収が進んだのだ。
それは「町の小さなお寿司屋さん」にも無関係ではなかった。日本全国のロードサイドや大型商業施設に「回転寿司」が乱立すれば当然、競争力のない店は淘汰されていってしまう。
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