あわあわあわ! なぜアサヒビールの「生ジョッキ缶」から、泡が次々に出てくるのか:水曜インタビュー劇場(クレーター公演)(4/6 ページ)
缶のフタを開けると、泡が自然に発生するビールが登場する。アサヒビールは4月に「生ジョッキ缶」を発売。缶ビールといえば泡がたたない構造をしているのに、なぜこの商品は泡が出てくるのか。同社の担当者に開発秘話を聞いたところ……。
泡を出すことに成功
土肥: あわあわあわとなっていたときに、どのようにして泡を出すことに成功したのでしょうか?
中島: さまざまなことを考え、トライして、失敗してきました。例えば、ビールの液体に工夫を凝らせば泡がたつのではないか。缶に詰めるときに従来とは違った方法でやればうまくいくのではないか。といったことを試してみたものの、うまくいきませんでした。仮説→検証→失敗を繰り返しているうちに、特殊な塗料にたどり着きました。
通常のアルミ缶の場合、ビールが入っている内面は平坦なんですよね。フタを開けると気圧の関係で泡は出るものの、その量は少しだけ。ただ、内面に特殊塗料を吹き付けることでクレーター状になる。凸凹させることで、泡がわき出てくる仕組みに着目しました。
土肥: クレーターをつくって泡をわき立たせるって、頭のいい人がいるんだなあと思ったのですが、そうした発想はどこから生まれてきたのでしょうか?
中島: シャンパン用のフルートグラスを想像していただけますか。細長いグラスにシャンパンを注いでも、しばらくの間、小さな泡が出てきますよね。
土肥: 出てます、出てます。しばらく経っても、グラスの底から泡が出ていますよね。ひょっとして、このことに疑問を感じていなかったのは、ぼーっと生きているから?
中島: フルートグラスをよーく見ていただきたいのですが、底にキズが入っているんですよね。少しキズを入れることによって、そこに炭酸ガスがあたって泡が出てくる。シャンパンのおいしさをさらに引き出すための工夫が施されているわけですが、この仕組みを缶ビールにも生かすことはできないかと考えました。
缶の内側にキズを入れれば、泡がたつのではないか。いや、特殊な塗料を焼き付けることによって、クレーターが無数にできるのではないか。このような仮説を立てて、研究を進めていくことにしました。
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