あわあわあわ! なぜアサヒビールの「生ジョッキ缶」から、泡が次々に出てくるのか:水曜インタビュー劇場(クレーター公演)(5/6 ページ)
缶のフタを開けると、泡が自然に発生するビールが登場する。アサヒビールは4月に「生ジョッキ缶」を発売。缶ビールといえば泡がたたない構造をしているのに、なぜこの商品は泡が出てくるのか。同社の担当者に開発秘話を聞いたところ……。
泡の大きさは約0.1ミリ
土肥: どんな形で研究は進んだのでしょうか?
中島: 塗料を焼き付けるとクレーターができて、泡が生まれてくる。このことは分かってきたのですが、じゃあ塗料の量はどのくらいにすればいいのか。このほかにもさまざまなことを検証していったのですが、中でも一番苦労したのは「環境」。工場でつくって「うまくいった」と思っても、家の冷蔵庫で冷やして、いざフタを開けると「うまくいかない」ことも。しかも、家族が多く、冷蔵庫の中にたくさんの食材などが入っているケースと、一人暮らしで冷蔵庫の中にモノがあまり入っていないケースがありますよね。つまり、冷蔵庫の冷え具合によって、泡立ちに違いが出てくるんです。
温度が高いと泡立ちはいいのですが、キンキンに冷やすと悪くなる。この課題を解決するのに苦労しましたが、塗料の塗り方を工夫すればどうか。焼き付けるときの温度はどうか。塗料の量はどうか。均一に吹き付けたほうがいいのか。など、さまざまなことを検証して、家庭用の冷蔵庫(4〜8度)の中で冷やして、そこから取り出したモノであれば泡が出てくることが分かってきました。
土肥: 缶の内面はクレーター状になっているということですが、見た目では分からないですね。また、触ってみても、ざらざらしていなくて、通常缶と変わらない感触ですべすべしている。にもかかわらず、きめ細かい泡が出てきますね。
中島: 通常缶をグラスに注いだ場合、泡の大きさは約0.5ミリ。一方、生ジョッキ缶の場合、約0.1ミリ。この数字を聞いただけでも、泡がきめ細かいことをご理解いただけるのではないでしょうか。
土肥: ふむふむ。次に、フタのことも話を聞かせてください。従来の缶ビールと違って、カンヅメのフタを開けるような構造になっていますが、安全性はいかがでしょうか?
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