600万回以上再生されたJTの「想うた」 製品が登場しないCMは何を訴えているのか:広告から見る企業戦略(2/4 ページ)
JTが展開するCM「想うた」をご存じだろうか。俳優の北村匠海が演じる「村上優人」を中心に、両親、友人、同僚とのつながりを表現しているCMだ。
製品のPRとは異なる「企業広告」
かつてはJTでも製品をPRする「商品広告」を放送していた。しかし、未成年の喫煙防止や喫煙マナー向上のため、1995年からJTなどが加盟する「日本たばこ協会」がテレビやラジオでのたばこ広告の自主規制を実施。以降、テレビでたばこ商品のCMが放送されなくなっていった。
商品広告とは異なり、想うたシリーズは「企業広告」と呼ばれるものだ。企業の事業内容や社会貢献活動などを訴求し、企業のイメージや認知度を向上させる狙いがある。例えば、社名変更を機に放送していたAGC(旧、旭硝子)の「なんだし、なんだし、AGC」や「この木なんの木」で知られる日立グループの「日立の樹」などがそれに該当する。
ただ、AGCはCM中に社名を連呼しているし「日立の樹」は提供番組のみでの放送だ。JTの「想うた」はどうだろうか。先述した通り、最後まで見ていないとJTのCMだと分からないようになっている。JTのパブリックリレーション部で広告制作を担当する蔭山健太氏と天野裕策氏は「JTであると分かりづらいCMだと自覚している」と話す。では何を訴えていているのだろうか。
「想うたシリーズは、『ひとのときを、想う。』というJTの企業姿勢を訴えるために放送を続けている」(蔭山氏)。「ひとのときを、想う。」はJTが09年から使用しているコミュニケーションワードだ。「お客様を中心として、株主、従業員、社会の満足度を高めていくという経営理念『4Sモデル』を共有するための手段として10年前から企業広告を展開している」(蔭山氏)
想うたシリーズは、世代や年齢を区切らず幅広い世代をターゲットとしているという。JTでは、同シリーズを放送する前「想うた」とは雰囲気の異なる企業広告を放送していた。
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