銀行振り込み手数料値下げへ 10月から銀行間で半減
銀行間の資金決済を担う全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は3月18日に、銀行間の送金手数料を10月1日から一律62円に引き下げると発表した。従来は、3万円未満が117円、3万円以上が162年で、長期間据え置かれていた。
銀行間の資金決済を担う全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は3月18日に、銀行間の送金手数料を10月1日から一律62円に引き下げると発表した。従来は、3万円未満が117円、3万円以上が162円で、40年以上据え置かれていた。
銀行間で振り込みを行う場合、銀行は全銀ネットに接続して送金を行う。各銀行は、全銀ネットにかかる手数料に上乗せする形で利用者への手数料を決めることが多い。
三菱UFJ、三井住友、みずほの各大手銀行は、ATMでキャッシュカードを使った振り込みの場合、3万円未満で220〜330円(税込、以下同)、3万円以上は440円の手数料を設定していた。今回の全銀ネット手数料値下げで、各銀行は手数料の引き下げを行うと見られる。
すでにGMOあおぞらネット銀行は、順次銀行振込にかかわる手数料を引き下げると発表した。法人口座では3万円未満166円、3万円以上261円だった他行あて振り込み手数料を、個人口座では、157円(月1〜15回無料)だった他行あて振り込み手数料を、それぞれ10月から引き下げる。さらに、月額1980円で他行あて振り込みを180円で行える「振込料金とくとく会員」においては、先行して5月から引き下げる。
2020年の春に、公正取引委員会はレポートを出し、振込手数料が実際の事務コストを大きく上回る手数料水準となっていることを問題視。全銀ネットの決済インフラについて抜本的な見直しの議論が進んでいた。
昨今は多くのコード決済事業者がサービスを開始したが、利用者が銀行口座から入金する際にも、裏側では銀行振込の仕組みが使われており、全銀ネットの手数料がかかる。手数料をユーザーが負担するサービスはほとんどなく、事業者が負担していたため、コスト面がキャッシュレス決済普及の障害となっているといわれていた。
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