2015年7月27日以前の記事
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安易なオフィス縮小にリスクあり! では、これからのオフィス環境はどうすべきか?「総務」から会社を変える(1/3 ページ)

二度の緊急事態宣言を経ても収まらないコロナ禍。ニューノーマルだったテレワークが常態化し、オフィス縮小を取り沙汰する企業も出てきている。しかし、著者は安易なオフィス縮小にはリスクがあると指摘する。では、これからのオフィスはどうするべきなのか。

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 コロナ禍が収まらない。世界の科学者の間では、パンデミックからエンデミックへ――ともいわれ始めている。エンデミックとは、一定の地域または対象人口において、ある疾患が、継続的(慢性的)に発生している状況を意味する。例えば、風土病といわれるものがこのエンデミックにあたる。つまり、新型コロナウイルス感染症は完全に撲滅されることもなく、毎年流行するインフルエンザのように、「今年もそろそろコロナの季節だ。ワクチンを打っておこう」というような状態が定着するということである。

 これは視点を変えると、リモートワークが定着した「ニューノーマル」の働き方が、いよいよずっと継続し、「ノーマル」になるということでもある。そうなると、オフィスの在り方も真剣に考えなければならなくなる。一時的にリモートワークを推奨し、オフィスはガラガラだけど、いつか戻るから特に変えずにそのままにしておく――という、現在多くの会社が取りあえずとっているような方策は、早急に方針転換する必要がある。では、どうしていけばよいのだろうか。


ニューノーマルは「ノーマル」に?(出所:ゲッティイメージズ)

「個」と「集団」の切り替えが進んだ

 例えば、大きく普及したリモートワークにより、多くの人は、集中したい仕事や一人で行う仕事を在宅で、そして共同作業はオフィスに集まって行うというように切り替えているはずだ。つまり、リモートワークは「個」の仕事、オフィスは「集団」での仕事。この切り分けを進めていくことが一般的な流れである。

 コロナ禍以前には、「ABW(=アクティビティー・ベースド・ワーキング)」がオフィスづくりの一つのトレンドとなっていた。つまり、多種多様な「今行いたい仕事」のスタイルに適したさまざまな機能・場があるようなオフィスのことである。集中したいようなシチュエーションには集中スペースを使えるし、ミーティングしたいような場合はミーテイングスペースがある。働き方に適した場を適宜、自由に使えるABWが最新のオフィスとして脚光を浴びていたわけだ。

 ところが、先述したように、集中仕事やソロワークがリモートワークで行われるようになると、オフィスに対しては共同作業に必要なスペースのニーズが特に高まる。つまり、今までは、要素の全てがそろった場所がオフィスであったのだが、特定の機能がそろっていれば事足りる、ということになりつつある。トレンドが万能型オフィスから、特定の機能のみが機能特化型オフィスへと変化しつつあるのだ。それに伴い、オフィス内で完結するABWではなく、リモートとオフィスの両方を視野に入れた広義のABWを構築する必要がある。

 では、「集団」での仕事がなされる場所として、オフィスに求められる機能とは何だろうか。

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