安易なオフィス縮小にリスクあり! では、これからのオフィス環境はどうすべきか?:「総務」から会社を変える(3/3 ページ)
二度の緊急事態宣言を経ても収まらないコロナ禍。ニューノーマルだったテレワークが常態化し、オフィス縮小を取り沙汰する企業も出てきている。しかし、著者は安易なオフィス縮小にはリスクがあると指摘する。では、これからのオフィスはどうするべきなのか。
「オフィス縮小」にもリスクあり
一方で、オフィスを巡っては今、面積縮小が盛んに検討されている。企業としては、働く場の選択肢を最大限まで多様化しようとしている流れを受けたものだ。特に、感染防止という観点から「分散」は一つのキーワードとなっている。それが在宅勤務であり、サードプレース、ワーケーションであり、オフィスから外へと働く場は流出し始めている。
冒頭に記したように、コロナ禍はまだ完全に収束することはないだろうが、ワクチン接種により、ある程度落ち着いてきたときに、多くの人が「やっぱりオフィスで働きたい」という選択に戻るとしたらどうなるのだろうかと危惧している。在宅勤務では生産性が低下する、というアンケート結果もあるように、現在は無理して分散という選択をしている社員が、オフィス回帰を選択したときに、オフィスの面積を縮小していると、入り切れるかどうかという問題がある。従って、単にオフィスを削減するだけでは不十分だ。
生産性の高まる場を各自が自律的に選択するように、企業側としてはメッセージを発信しているのに、オフィスで働きたいという場合は人数制限をする、ということになると、そのメッセージの意味がなくなってしまう。そこで調整弁としてサードブレイス、レンタルオフィス、シェアオフィス、コワーキングスペースの活用が重要となるのは間違いない。
オフィスだけではない、超広義のABWこそが、今後のワークスペースを巡る展開としては、やはり大きなポイントとなりそうである。
著者プロフィール・豊田健一(とよだけんいち)
株式会社月刊総務 代表取締役社長 『月刊総務』編集長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、『月刊総務』の編集長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
著書に、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)、『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)
関連記事
- 「何かあったら困るから」をどう解消する? 道半ば「総務のテレワーク」を推し進めるカギ
2回目の緊急事態宣言がなかなか終わらない状況だが、1回目と比較して、「総務のテレワーク事情」はどう変化したのか。総務に詳しい豊田健一氏は、「何かあったら困るから」という、総務の便利屋扱いがテレワークの壁になっていると指摘する。 - 総務のテレワークを巡る「衝撃の数字」 フルリモート実現の急所とは?
『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。総務のテレワークに関する調査で明らかになった衝撃の数字を基に、総務のフルリモートを実現するための急所はどこにあるのかを解説する。 - オフィス出社は5人だけ! リモート主体で社員700人を支える総務業務のコツとは?
ほとんどの社員がフルリモートのキャスター。オフィス出社しているのは5人だけだというその他、700人の社員がフルリモート勤務の同社だが、総務業務などはどのようにこなしているのだろうか。リモートワークのコツと合わせて聞いた。 - 在宅勤務が進んでも、月3億円の家賃でも「オフィスは必要」 GMO熊谷社長の哲学
オフィスは武器だ──。テレワークの普及でオフィス需要の低迷のみならず、場合によっては不要論すら叫ばれるなか、GMOインターネットグループの熊谷正寿会長兼社長は必要性を説く。その理由は。 - うるさくないの? オープンな会議室を作ったら、意外な効果 日本オラクルの革新的なオフィス
新規事業に取り組むために、社外から若手を中途採用した日本オラクル。こうした人材を集めるためには「きれいなオフィス」が必要と考え、2019年に「Oracle Digital Hub Tokyo」を開設した。どんなオフィスかというと……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.