日本にとって“渡りに船”だったのか? LINE騒動はゴタゴタ中:世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)
LINEの個人情報が、中国からアクセスされているとして大騒動に。多くのユーザーは以前と同じように使っていると思うが、3月に合併したヤフー側はこの騒動をどのように受け止めているのだろうか。
安全であれば
これから、LINEやヤフーに対して、日本政府の影響力が強くなる可能性があるが、ユーザーにとっては安全であればそんなことはどうでもいい。
とにかく、Zホールディングスグループには、米中デカップリングのような、グローバルな政治状況や各国の法制度を踏まえた判断ができる人材が必要になるだろう。経済や産業での懸念が、国や国民の安全性、すなわち安全保障につながるという意味でも、その重要性もきちんと把握した幹部なども不可欠になる。そうすれば、データセンターの設置や研究開発拠点などの判断も適切にできるはずだ。
「国産」の通信やスマホ決済というインフラを責任をもって運営できる、責任感のあるプラットフォーム事業者になるために、欧州の厳しいデータ保護基準であるGDPR(EU一般データ保護規則)なども意識して安全なプラットフォームを作ってほしい。
今回の騒動が、将来振り返って日本のためにはよかったと言えるようになることを願う。
筆者プロフィール:
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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