「仕事中に下品なことを言う」人の未来がない、これだけの理由:“いま”が分かるビジネス塾(3/4 ページ)
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗前会長による女性蔑視発言、テレビ朝日「報道ステーション」のCMなど、このところジェンダー問題が噴出している。この問題を回避する方法はあるのか。筆者はシンプルな方法を考えていて……。
女性解放運動だけが男女平等をもたらしたのではない
女性の社会進出についても、実はビジネス環境が大きく影響している。日本では男性側から「女性を登用しようと思っても、女性にヤル気がない」「女性も責任感を持つ必要がある」といった発言が出てきて、炎上を引き起こすケースがある。
これはニワトリとタマゴの関係に見えるが、実はそうではない。かつての欧米社会にも、こうした意見を持つ男性は多く、女性登用はそれなりに苦心していた。だが、レーガン政権による競争政策と、続いて到来したビジネスのグローバル化が状況を大きく変えた。
1980年代の米国社会は、レーガン政権による経済政策(レーガノミクス)をきっかけに競争重視にかじを切り、イノベーションの進展で企業のグローバル化が急激に進んだ。その結果、牧歌的な企業文化は姿を消し、各企業は収益の拡大にまい進せざるを得なくなった。
業績に対する強いプレッシャーがあると、人材をえり好みしている余裕もなくなる。適材適所が一気に進み、適性があると認められた女性は責任あるポストに半ば強制的に放り込まれ、能力の低い男性は役職から外された。
しかも企業のグローバル化が進むと、異なるカルチャーや生活習慣を持つ人と一緒に仕事をしなければならない。宗教や性的指向などプライベートに立ち入ることはリスクが大きいので、必然的に社内で交わされる会話は、仕事中心にならざるを得ない。
ウーマンリブやそれに続くフェミニズムなど、いわゆる女性解放運動によって女性の社会進出が進んだと認識している人は多いが、実は企業の競争環境の整備とグローバル化の進展も大きく影響しているのだ。
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