「仕事中に下品なことを言う」人の未来がない、これだけの理由:“いま”が分かるビジネス塾(4/4 ページ)
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗前会長による女性蔑視発言、テレビ朝日「報道ステーション」のCMなど、このところジェンダー問題が噴出している。この問題を回避する方法はあるのか。筆者はシンプルな方法を考えていて……。
企業本来の目的を忠実に達成すればよい
一連の経緯は、日本企業の風土改革にも参考になると筆者は考えている。企業は利益を上げるという本来の目標に突き進み、それを忠実に実行するだけで一連のトラブルを軽減できる可能性が見えてくる。
利益を上げることに忠実な組織は、責任の所在もはっきりしており、管理職はどれだけ業績を上げたのか、社員は与えられた業務をどれだけ正確にこなしたのかという部分だけで評価される。「がんばって残業したから評価する」「上司は全人格的にエラいので、服従しろ」といった社風も一掃されるだろう。
仕事の会話が中心となる新しい社風に対して「味気ない」「ギスギスしている」という感想を持つ人もいるかもしれない。だが、情緒たっぷりの交流はプライベートで実践すればよく、わざわざ会社で行う必要はない。しかも、コロナ危機をきっかけに、ビジネスのIT化がこれまで以上に急ピッチで進むのは確実であり、業務はますます個人完結型になる。
「多少、下品な会話もないとスムーズに仕事が進まない」などと言っているビジネスパーソンは、10年後には本当に仕事がなくなってしまうかもしれない。それほどビジネスの質的転換は急ピッチで進んでいるのだ。
加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)
仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。
野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に「貧乏国ニッポン」(幻冬舎新書)、「億万長者への道は経済学に書いてある」(クロスメディア・パブリッシング)、「感じる経済学」(SBクリエイティブ)、「ポスト新産業革命」(CCCメディアハウス)などがある。
関連記事
- 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 「EV化で30万人が仕事を失う」説は本当か
EVの普及によって雇用が30万人失われる――。2月、このような記事が話題になったが、この数字は本当なのか。ガソリン車と比べEVは部品点数が少ないので、部品メーカーが淘汰されるのはほぼ間違いないが、その一方で……。 - 「週休3日」は本当に実現できるのか ネット上で評判が悪い理由
新型コロナの感染拡大に対応するため、自民党が 週休3日制を提言する方針であることが明らかになった。賃金がそのままで休みが増えれば、ビジネスパーソンにとって“うれしい”ニュースになるわけだが、ネット上では評判がよくない。なぜかというと……。 - 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - ルネサス火災の真相は? セキュリティ関係者が疑っている「こと」
半導体大手「ルネサスエレクトロニクス」の那珂工場で火災が発生した。火災の原因はまだ明確になっていないが、セキュリティ関係者の間で疑っていることがある。それは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.