4月1日から違法「税別表記」、ahamoは値下げで“2000円代”死守:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)
スーパーでもよく見かける「298円(+税)」といった値札は、4月1日から違法となった。このような税々表示は、そもそも安倍政権下で実行された二度の消費税増税の際、増税するごとに必要な、値札の貼り替えやシステムを改修する事業者負担を軽減するための措置だ。その特例措置が、3月31日をもって期限を迎えたため、4月1日から税別表記は違法となる。
スーパーでもよく見かける「298円(+税)」といった値札は、4月1日から違法となった。
このような税別表示は、そもそも安倍政権下で実行された二度の消費税増税の際、増税するごとに必要な、値札の貼り替えやシステムを改修する事業者負担を軽減するための措置だ。その特例措置が、3月31日をもって期限を迎えたため、4月1日から税別表記は違法となる。
税別で298円の値札は、今後税込の「328円」と表記しなければならない。
BtoCで課せられる税込表記の義務
このような税込表示の対応は、スーパーやコンビニ、レストランといった消費者に対する商品の販売やサービスの提供に際しての価格表示に必須となる。したがって、事業者間での取引には税込表示の対象とならない。
それでは、どのような価格の表示方法が適切なのだろうか。この点について、国税庁は必ずしも「(税込)」といった表記を付け加える必要はないという。
例えば、これまでは税別で「2980円(+税)」等と表記されていた商品の場合を考えてみよう。この場合は「(税込)」という表記がなかったとしても、消費者が支払う総額が表示されていれば足りる。したがって、「3278円」という総額だけが示されていれば適切な表記となる。
また、本体価格のお得さを少しでも強調したい場合は、「3278円(税別価格2980円)」といった具合に、税別価格をカッコ書きで付け足すことも問題ない。
ahamoは本体料金の値下げで“2000円台”を死守
税込表示対応に伴い、これまでは「税別2980円」といった値札が「3278円」という表示になる。どちらの値札でも最終的に支払う金額は同じであるが、パッと見た印象では税込表示の値札の方が、高額かのような印象を受けないだろうか。
このような価格印象の悪化を避けるため、税込でもこれまでの値札で提示していた価格を“死守”しようと値下げに踏み切る事業者も散見される。
最も大きな動きといえば、大手携帯キャリアの価格改定だろう。とりわけ、NTTドコモの新料金プラン「ahamo(アハモ)」は、当初の2980円だと税込対応で唯一3000円を超える表記のプランとなり、実際の価格差以上に割高感が出てしまう懸念があった。
その懸念もあってか、同社は3月に月額料金の値下げを発表し、これまで提示していた月額2980円(税別)から月額2700円(税別)に改定することとしたのだ。料金プランの値下げにはさまざまな要因が絡むため、必ずしも全てが税別表示対応によるものとはいえないものの、税別2700円を税込に直すと2970円と、2000円台を死守する努力の後がうかがえる。
顧客に提示されるahamoの値札は、当初は「2980円」だったが4月1日からは「2970円」となる。値札上は10円しか変わらないものの、実態としては1割以上の値下げとなるため、消費者の料金負担は見た目以上に減っていくものと考えられる。
体力のある大手の事業者はある程度の利幅を犠牲にしても経営を継続できるだろうが、今後も“298円”や“398円”というような訴求力のあるキャッチーな値札を維持するには各商品を1割値下げしなければならず、体力のない企業等にとっては負担となる可能性がある。
関連記事
- ソフトバンクも追随、価格破壊「20Gバイト月2980円」の携帯業界ウラ事情
これまで国民・政府が求めてきた「携帯料金の値下げ」に、大手キャリアが舵を切り始めた。ドコモに続き、ソフトバンクも月額2980円で20Gバイトという価格設定を打ち出してきた。実は、ドコモがahamoのような価格破壊的な料金プランを発表する直前に、予備運動らしき行動を取っていたことをご存知だろうか。 - 楽天で相次ぐ“ポイント改悪”……それでも顧客は流出しない?
楽天ゴールドカードのポイント還元率が減少するまで、あと3週間を切った。楽天がポイントにメスを入れる背景には、国際会計基準(IFRS)ではポイント還元のカットは売上高を直接押し上げる効果があるからだ。一方で、このようなポイント還元のカットが今後幾分か重なったとしても、急激な顧客離れは起きにくいと考えている。なぜなら、顧客のスイッチングコストが大きいからだ。 - 時短営業で“月180万円ボロ儲け”……ここがおかしい時短協力金制度
零細の個人経営飲食店と、大型の飲食チェーンでは、前者が弱者で後者が強者というイメージが先行しやすい。しかし、こと時短要請と休業補償の観点からいえばその構図は全く逆だ。都内で小規模なバーを営むある経営者は、濡れ手で粟のぼろもうけ状態であるという。 - 日銀に“ハシゴ外し”された日経平均株価……ユニクロ・ソフトバンクG株に影響も
3月19日に発表された日本銀行の金融政策決定会合の結果は市場に衝撃をもたらした。その内容は、これまでETFを爆買いしていた日銀が、日経平均から「ハシゴを外した」とも取れる内容だったからだ。 - 2021年は「呪術廻戦」が“ネクスト鬼滅” 「〇〇の呼吸」はもう時代遅れに?
若年層の関心について検討を深めると、2021年は鬼滅の刃でよく用いられた「○○の呼吸」や「全集中」といったワードが、「領域展開」という決めゼリフに置き換えられつつあることが分かった。今回は、「領域展開」という“謎の単語”の理解を深め、21年のトレンドを確認したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.