有名ブランドの服を“激安”で売る「オフプライスストア」が増殖中 背景にバーバリーの焼却事件:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/6 ページ)
売れ残った有名ブランドの洋服や靴を激安で販売する「オフプライスストア」が増えている。大手アパレルのワールドやゲオグループなどが参戦。単に安く売るのではなく、ある特徴を備えているという。
背景に構造的なアパレル不況
オフプライスストアが台頭する背景には、構造的なアパレル不況がある。例えば、日本百貨店協会が発表した「全国百貨店売上高概況」によれば、09年12月の衣料品売上は約2106億円だった。しかし、19年12月には約1595億円と、4分の3程度にまで縮小。
コロナ禍に見舞われた20年12月にはさらに2割ほど減って、約1267億円となった。
つまり、アパレルがユニクロのようなファストファッションと高級ブランドに二極化する傾向が進み、百貨店やファッションビルなどの店頭で中級アパレルが売れなくなっていた。そして、コロナ禍の外出自粛によって高級ブランドも売れなくなってしまった。過剰在庫を抱える企業が増え、処分方法の選択肢としてオフプライスストアが浮上した。
しかし、「企業も生産調整をするので、コロナ禍で在庫が膨らむとは限らない」(ワールド・広報)といった指摘もある。新型コロナの前から準備していたオフプライスストアの立ち上がりと、コロナ禍がたまたま重なったと見るべきだろう。
売れ残った商品を焼却
アパレルの廃棄が大きな問題となったのは、18年にイギリスのバーバリーが年間約40億円もの売れ残りを処分したことが判明したことだ。BBCをはじめ多くの欧米メディアが批判的に報じた。それに対して、バーバリーは今後売れ残った商品を焼却しないと表明した。
バーゲンやアウトレットでも売れなかった余剰在庫の焼却処分を行っているアパレル企業は、バーバリーだけではない。日本のアパレル業界でも、余計な温室効果ガスの排出を減らすSDGs(持続可能な開発目標)の考え方を取り入れて、売れ残った商品を安価で流通させるオフプライスストアの開発が必要という機運が高まった。そして、1〜2年の準備期間を経て、一斉に立ち上がってきたのだ。
一方で、消費者にも以前に買った商品を着まわす考え方が定着。かつてのように皆で流行を追わなくなり、1〜2年前のアパレル商品でも販売できる市場に変わってきた面もある。
欧米、特に米国では年商で4兆円を超える企業も生まれており、オフプライスストアの注目度は高い。
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