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「えっ、この絵が1億円?」……今更聞けないNFTバブルのヤバい裏側古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)

世はまさにNFTバブルだ。トップ画像を飾るこのアヒルのイラスト「perfection」は、WAVESという暗号資産のブロックチェーン上でちょうど100万ドル、日本円にしてなんと1億円以上の価値で落札された代物である。

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 世はまさにNFTバブルだ。トップ画像を飾るこのアヒルのイラスト「perfection」は、WAVESという暗号資産のブロックチェーン上でちょうど100万ドル、日本円にしてなんと1億円以上の価値で落札された代物である。


アヒルのイラスト「perfection」

 ほかにも、ツイッターサービス開始時のテストツイートが3億円で落札されたり、Decentralandと呼ばれるインターネット上の仮想空間プロジェクトにおける土地の権利が1億円以上で取引されるなど、「NFTであればなんでも売れる」状況だという。

 上記の例は海外の取引事例であるが、わが国においてもNFTがちょっとしたブームになりつつある。GMO、エイベックス、スクエニHD、マネックス傘下のコインチェックなど、業種横断的に企業の新規参入が相次いでおり、そのさまはちょうどPayPayを筆頭としたQR決済戦争を彷彿(ほうふつ)とさせる。

 そんな熱狂にさらされている、NFTだが、これはそもそもどのような概念なのだろうか。

今更聞けないNFTの基礎

 NFTは何も2021年に生まれた概念ではなく、その走りは17年のクリプトキティーズという子猫育成ゲームにある。当時も、「世界に一つだけの子猫」の所有権をめぐって1800万円もの大金が動いたこともある。そんなNFTの唯一性とは、どのようにして担保されているのだろうか。

 そもそもNFTとは非代替資産だ。これと対をなすのがFT、つまり代替可能資産である。この二者の関係は、「エラーコインの10円玉と、普通の10円玉」に似ている。普通の十円玉は、代替可能資産でなければならない。なぜなら、通貨の性質はあまねく均一でないといけないからだ。

 仮に10円玉がサイズや重みもバラバラで、1つとして同じ10円玉がない状況になってしまえば、偽の10円玉も区別することができず、通貨として役にたたない。従って、10円玉のようなものは非代替性資産になり得ないのだ。

 逆に、例えば穴が空いていたり、刻印が誤っていたりするエラーコインはNFTといえる。エラーコインは、本来出回るはずのない失敗作が出回ることで、その珍しさ故に10円という通貨の額面以上の価値が生まれる。その失敗の度合いが珍しければ珍しいほど価値は高まる。さらに、エラーの種類は均一ではないため、全く同じエラーコインは生じない。つまり、エラーコインには代替可能性のないことが求められるのだ。


(写真提供:ゲッティイメージズ)
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