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バブルの名残 温泉街の「大型施設」が廃墟化 鬼怒川と草津の違いと「大江戸温泉物語」の戦略:どう立て直す?(5/6 ページ)
コロナ禍がもたらす温泉街への影響は甚大だが、「温泉の魅力」として考えさせられるのが“街づくり”という点だ。筆者は「施設そのもので集客できる強い宿は例外的で、温泉地の魅力自体が集客を左右する」と指摘する。
個人客へシフトした温泉そして渓谷美
渓谷の温泉として鬼怒川温泉をみてきたが、温泉と渓谷美といって筆者が思い浮かべるのが石川県加賀温泉郷の「山中温泉」だ。取材へ出向いてみるとコロナ禍ということもあり、温泉街全体で相当の気遣いがみられたが、明るくポジティブな雰囲気に包まれていた。
そもそも山中温泉は1300年の歴史を有し、今なお多くの文化が息づいている。「九谷焼」や「山中漆器」をはじめ、日本三大民謡の1つとして知られる「山中節」など伝統美に触れられる温泉地だ。
温泉街のにぎわい必須条件ともいえる中心部の共同浴場も山中温泉名物の1つ。共同浴場「山中温泉総湯 菊の湯」は、男湯と女湯が別棟で向かい合わせに建っている。山中温泉街は、その湯元である菊の湯を中心に発展した。隣接する山中座では芸妓さんたちによる唄と舞も上演されており、共同浴場・伝統・エンターテインメントと温泉街の魅力を備えた地と言えよう。
そんな山中温泉もバブル華やかなりし頃は今のようなイメージではなく、“男性の歓楽街”として広く知られる温泉地だった。そんな温泉地が転換期を迎えたのは約30年前。温泉地そのものが大型の団体客から個人へシフトしていく中で、旅館組合や住民が結束して伝統や文化を感じる温泉街づくりに取り組んだ。
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