2015年7月27日以前の記事
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「5兆円や6兆円で満足する男ではない」と孫社長 金の卵の製造業とは?(2/3 ページ)

20年度に4.99兆円という国内最大の純利益を出したソフトバンクグループ(G)は、いまや創業時に目指した企業の姿に近づいたのかもしれない。この利益額は、日本企業として歴代最高だ。さらに世界に目を向けてもグーグル持ち株会社のアルファベットの2020年12月期の利益を上回るなど、GAFAに匹敵する規模となっている。

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復活したソフトバンク・ビジョンファンド

 その軸になるのは、ソフトバンク・ビジョンファンド(SVF)だ。ソフトバンクGが保有する株式価値の合計は26.1兆円まで増加しているが、一時その6割を占めたアリババ株の比率は43%まで低下。代わりにSVFの比率が大きく増加し25%に達した。


保有する株式の時価総額合計から有利子負債を引いたNAV(時価純資産)を、ソフトバンクGは重要指標としている。14年以降、その多くをアリババ株が占めていたが、現在比率は43%まで低下した

 20年度の成績は絶好調だ。1兆8400億円もの損失を出した19年度から一転、20年度は6兆3575億円もの投資損益を上げた。ファンド組成からの年平均内部リターン(IRR)は実に22%にも上る。

 サウジアラビア王族などから多額の資金を調達し鳴り物入りでスタートしたSVF1号とは違い、持ち株の大幅な下落を受けた影響で、SVF2号は外部からの資金が集まらない状態でのスタートとなった。10兆円を集めたSVF1号に対し、自己資金のみのSVF2号は3兆円規模。しかし20年度の積極的な投資が功を奏し、年平均内部リターンは119%に達している。


SVFの1号、2号の投資成績。SVF1号では1.7兆円の投資が上場によって6.7兆円に増えた。2号はまだ規模は小さいが、大きなリターンを上げている

 SVF1号、2号を合わせて、ソフトバンクGの出資分と成功報酬を合わせた同社取り分の年平均内部リターンは43%となった。ソフトバンクは創業以来、米ヤフーやアリババなどの投資を成功させてきたが、過去の投資についての投資利回りを計算すると年率43%だったという。「偶然だが、43%の男と、ちょっとくらい胸を張りたい」(孫氏)

 SVF2号では外部からの出資は集まらなかったものの、現時点では積極的に資金を調達する方針はない。資産売却プログラムに沿って現金化を進めた結果、10兆円近い手元資金を持っているからだ。「手元資金だけで投資に困らない。今の時点では、手持ち資金だけで粛々と続ける。SVF1号のエグジットも出てくるので、自分たちの資金で回転していけるような状況に今は変わってきた」(孫氏)

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