無印やユニクロの在庫管理はどう? アパレル業界が抱える「サイズ展開」と「需要予測」のジレンマ:磯部孝のアパレル最前線(2/3 ページ)
アパレル市況は相変わらず厳しい。そんな中でも、カテゴリーにとらわれない拡張路線を走る良品計画の21年8月期第2四半期決算から課題点についてみていきたい。
取り扱い数の増加で難しくなる「在庫管理」
別表をご覧いただきたい、これは同社の期末の棚卸資産(在庫)額を表にしたもので、総資産から棚卸資産が占める構成比も記してみた。前年比で8.6%の改善が見られている。
この表の下には在庫回転率を記した。これを見ると、在庫回転率は大幅に低下している。在庫回転率は売上原価を総資産額で割った数なので、売上原価が減少すると棚卸資産の回転率も低くなる。それだけ調達した商品の回転率も鈍くなっている。また、棚卸資産の構成比の改善は売上原価の減少によるもので、商品在庫が超過したために大幅な仕入れ抑制をかけた結果と考えられる。
同じ国際会計基準(IFRS)を採用しているユニクロを運営するファーストリテイリングと比較してみた。ファストリの棚卸資産構成比が14%で推移しているのに対して、良品計画の26%は明らかに高い。仕入抑制(生産調整)施策の効果が出ているという見方もできるが、生産から販売に至る商品コントロールマネジメントの難しさともとれる。取り扱い品種が増えるに従い、商品コントロールの複雑さも増していくのではないかと想像する。
17年頃から無印良品は価格の見直し施策を行ってきた。当然、これは既存店への客数回復を狙ったもので、一定の効果はあったのだろう。しかし、価格を下げることによって今度は買い上げ点数を増やさなければならず、前年比で売上金額をプラスにしていくには、売上点数を増やす必要がある。すると生産計画枚数も増え、需要予測が外れれば当然「売れ残り在庫」となってしまう。
半ば常態化し始めた同社の価格見直し施策「ずっと見直し、ずっと良い値」の中には、来シーズン以降も継続して販売する「持ち越し商品」なども多く含まれている。当然、定番商品という発想のもとオペレーションを組み立てるケースもあるだろう。2年以上持ち越す商品ならば、もっとそれなりの商品調達方法があってしかるべきで、結果として継続販売となった商品(または定番化?)も含まれているのではないか。
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