コラム
男性育休「皆無」→100%に 「休めば、給与が増える」中小企業の“逆転発想”:宣言通り(2/2 ページ)
男性の育児休暇取得が「皆無」だったが、「男子育休100%宣言」を打ち出し、見事達成した会社がある。一体どんな工夫を凝らしたのか。
「休めば給与が増える」賃金体系
加えて、「育児休暇を取得することで収入が減るのではないか?」「キャリアアップの妨げになるのではないか」という懸念にも対処。これまでも支給していた出産祝い金に加え、新たに5万円の育児休業手当を支給することにした。育児休暇を取得すれば、収入が減るのではなく、逆に増える賃金体系を導入し、社員が育児休暇を積極的に取得できる雰囲気作りに努めた。
その結果、既に紹介したように19年3月以降、育児休暇の対象となった男性社員4人全員が1週間以上の休暇を取得。男女ともに育児休暇取得率、その後の職場復帰率が100%になった。
育休時短労働の対象を、法令で定める「3歳まで可」から、社内制度で「6歳まで可」と対象を広げるなど、さまざまな働き方改革の施策も展開。その結果、現在ではホワイト財団のほか、厚生労働省や経済産業省、兵庫県、神戸市などから働き方改革に関する認定や表彰を受け、メディアでもたびたび取り上げられるようになった。
同社によると、男性社員の育児休暇取得の奨励策は「(他の働き方改革の施策と比べると)最も簡単で苦労なく進めた案件であり、多くの取材を受けているが気恥ずかしい限りです」という。今日でも多くの日本企業では、男性社員が育児休暇を取りにくい雰囲気が支配的だが、同社のように経営の理解とリーダーシップさえあれば、意外とスムーズに浸透するのかもしれない。
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