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パナソニックの“スピード開発”を後押し、Shiftall 岩佐CEOに聞く(後編)家電メーカー進化論(2/8 ページ)

岩佐琢磨氏は、新卒入社したパナソニックを2008年に退社し、Cerevoを起業。その後設立したShiftallは、全株式をパナソニックへ売却し100%子会社となる。後編では、現在パナソニックで担っている役割、家電メーカーが生き残るために必要な取り組みなどについて、Shiftall 岩佐CEOに話を聞いた。

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誰も踏み込んでいない“前例”を新たに作る

 岩佐氏は、新規事業を創出していく上で“ゼロイチ”、つまり無から有を生み出す人材を数多く作らなければならないと語る。

 「パナソニックもまだまだ全然足りない部分はあるが、変わろうとかなり努力し、実際に変わってきていると思う。しかし、他メーカーの方と話していても思うことだが、ゼロイチをやろうという人の数が圧倒的に足りなさすぎる。

 パナソニックのスタッフ26万人のうち、100人がやろうとしてもうまく行かない。仮に5年前に300人しかいなかったとすれば、このゼロイチ人材を1000人、5000人、1万人にしていくことが非常に大切だ。グループ全体で1万人がゼロイチをやろうとしたら、すごい勢いで新しいものが出てくるだろう」(岩佐氏)

 ゼロイチスタッフの増加については、社内での人材育成や採用があるが、場合によってはそういった人材を多数抱えるスタートアップを買収するという方法もある。当然パナソニックの内部にも優秀な人材はたくさんいるが、新しいモノやコトを生み出そうとした時、たびたび立ちはだかるのが「前例主義」だと岩佐氏は指摘する。

 この実例の1つが、一般消費者から資金を募って製品やサービスなどの開発に充てる資金調達手法「クラウドファンディング」だ。

 「私が18年にShiftallとしてジョインし、18年末に『WEAR SPACE』のプロジェクトでクラウドファンディングを始めるまで、製品開発のためにクラウドファンディングをやったことのある人が1人もいなかった。聞いてみたところ『やっていいのかどうか分からない』というのだから、面白いでしょう?(笑)」(岩佐氏)


クラウドファンディングサービス「GREEN FUNDING」で実施した、WEAR SPACEのクラウドファンディングは、1500万円を集めなければ開発ストップという厳しい条件だったが、終了ギリギリで成功した

発表会でWEAR SPACEを装着してみせる岩佐氏

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