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国内乗用車メーカー7社の決算(前編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)

例年ゴールデンウィークが明けると、国内自動車メーカーの通期決算発表会が相次ぐ。業界全体に対しての今年の総評を述べれば、コロナ禍の逆境にもかかわらず、各社奮戦し、期首に懸念されていたような危機に陥ることなく、日本企業の底力を見せつける結果になったと思う。ただし、1社だけ惨憺(さんたん)たる結果のところがある。

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 これを逆転させるには、全モデルの入れ替えと、そこから不退転の覚悟で値引きを抑制するしかない。急に値引きを止めれば売り上げは落ちる。しかしそれをやる以外に出口はないので、向こう数年の売り上げに目をつぶって、やせ我慢をしてでも、「新型車を高く売る」戦術を実行するしかない。


新車販売の値引き原資である販売奨励金は、昨対比で大きく減少。台数は見込めるが値引き幅の大きいレンタカー比率も大きく下がった

 そういう局面で、コロナ禍がやってきた。誠にご愁傷様としか言い様がない。だから日産の施策には最大限の注視をしてきた。結果を言えば、日産はその難しいオペレーションをひとまず成功させている。まだ売り上げは付いてきてない。しかし、11車種もの新型を投入し、かつ「日産の説明によれば」値引きも抑制している。それが本当ならば、日産は再びリングに上がってくるための最初のステップをクリアしたと言える。

 決算の数字こそ極めて厳しいが、逆説的に言えば、ここで決算の数字を飾るために、再び値引きのサイクルに入っていたらもう浮かぶ瀬はなかったと思う。このオペレーションのファーストステージをやり切った内田誠新社長の手腕に筆者は期待をかけている。

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