おしゃれの象徴だったアパレルの「買い物袋」 有料化から1年で各社の対応に差が:磯部孝のアパレル最前線(3/4 ページ)
2020年7月から全国一斉にレジ袋有料義務化が始まった。導入からおよそ1年が経過し、マイバッグやエコバッグ使用の浸透度合いやアパレル業界の対応、今後の課題感について取り上げてみたい。
有料対象は「持ち手のついたプラスチック製」
有料となる対象のレジ袋は、商品を持ち運ぶために用いる「持ち手のついたプラスチック製」。一方、生分解性プラスチック100%、バイオマス素材の配合率25%以上のバッグは対象外となる。プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上の袋は再利用が可能なため、繰り返し使用の推奨を表示の上、使えることになっている。
目的はあくまで一般生活者に向けた環境問題意識への啓蒙活動という観点で、こうした例外も認めていることから「義務化」というネーミングほど、企業側への厳しさはない。小売店側で対応が選べる内容だからだ。しかし、それが結局アパレル各社の足並みが揃わず、生活者にとって「袋代を徴収される店」と「徴収されない店」に分かれている現状を生み出しているのだ。
またアパレル企業の場合、袋代くらいの負担感では商品購入先の選定に影響を及ぼすほどの事はない。かえって袋代を負担する事によって環境問題に寄与できているくらいの気分がうまれているのかもしれない。
しかし小売店にとっては、袋代を徴収するかしないかによって、経費面で大きく影響してくる問題だ。例えば100店舗展開クラスのチェーン店にとって1店舗あたり最低でも年間1000枚ものショッパーが必要だったとしても合計10万枚にはなる。1枚30円のショッパーならば300万円程が年間経費となる。
いくらかでも購入者から直接徴収できるのであれば、店側の経費負担は軽減できる。先にも触れたように環境問題が取り沙汰されている現状において、袋代の徴収が商品選定に影響が出ないとなればこれから徴収していく企業が増えても不思議ではない。
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