おしゃれの象徴だったアパレルの「買い物袋」 有料化から1年で各社の対応に差が:磯部孝のアパレル最前線(2/4 ページ)
2020年7月から全国一斉にレジ袋有料義務化が始まった。導入からおよそ1年が経過し、マイバッグやエコバッグ使用の浸透度合いやアパレル業界の対応、今後の課題感について取り上げてみたい。
ファッション・アイコンとしての役割も
業界では、長らくブランドビジネス広告手段の1つとして、オリジナルショッパー(買い物袋)が使われてきた。古くはVANの紙袋を小脇に抱えて闊歩する姿や、80年代のDCブランドブームでもオリジナルショッパーはファッション・アイコンとしての役割を担ってきた。
さらにハイブランドのショッパーは二次流通や記念としてとっておく人もいるだろうし、高級百貨店のショッパーは今でも、ちょっとした御礼を渡す時や個人間の貸借にしゃれた包装用紙として活躍する場面があるだろう。そうした利用価値の認められたショッパー達は、メルカリなどで売買されている。
では、ポピュラーブランドではどうか。購入後に持ち歩く姿を他者から視認されることによってブランド広告的な価値は等しくある。ブランドサインとショッパーデザインを共有化させブランド認知を深めるようなやり方は、半ば常識として根付いているのが現状だ。
アイコンとしての役割を担っていたショッパーだが、レジ袋有料化の流れも相まって、アパレルショップによって取り扱い対応はまちまちとなっている。
「ユニクロ」や「ジーユー」を展開するファーストリテイリングは、プラスチック製のショッパーを紙製に変更し一律10円で販売。一方、良品計画が展開する「無印良品」はプラスチック製バッグを廃止し、紙製バッグの無料配布を継続している。紙製バッグに収まらない場合は「再生ポリプロピレンバッグ」を3サイズ、150円で販売し、不要になれば返品できるようにしている。
ビームスは5月1日からビニール製のショッピングバッグを廃止した代わりに同じ形のコットン製バッグを550円で販売している。同社のショッパーは創業10周年を迎えた1986年に誕生。2019年には年間39万枚を用意していて、35年にわたり、渋カジと共に記憶に刻まれる代名詞的アイテムとなっていた。
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