“グレー職場”って何だ!? 社員の声から見る“あるある”風土とは?:ブラックじゃないけどつらい(4/4 ページ)
働き方改革や法的な残業上限規制、コロナ禍によるリモートワークの導入など労働時間マネジメントが推進されていますが、ブラックと言われるほどひどくなくても、なんらかの問題を抱えている“グレーなもの”は職場単位では数多く存在しているのではないでしょうか。ここでは、ブラックではないけどホワイトになり切れない、グレー職場について迫ります。
ホワイトになり切れない理由って?
ホワイト企業総合研究所によると、「イキイキと働くための良い環境が整っている会社」をホワイト企業として、その特徴を次のようにまとめています。
(1)社員の健康や労働時間などを重視し、長く働きやすい環境を提供
(2)給料が良く福利厚生も充実
(3)キャリアアップにつながる
(4)同期の仲がとても良く、よく集まって飲んでいる
(5)情状酌量の余地があり、簡単にクビを切らない
これらを全て満たした企業がホワイト企業だとすると、余裕のある一部の大企業では可能でも、コロナ禍で業績が悪化している企業ではかなりハードルは高いと言わざるを得ません。
例えば、(1)の「長く働きやすい環境」は、働き方改革の一環として最も取り組みやすい項目ですが、会社業績が低迷している状況では、個々人の働き方よりも会社利益を優先せざるを得ません。
創意工夫で生産性を高めることよりも、上記してきたように表面的な残業規制のもと、業績悪化に歯止めをかけるためにサービス残業化する可能性もあります。(2)の「給料が良く福利厚生も充実」は、そもそもビジネスモデルが変わらない限り簡単にできるものでもありません。
(3)の「キャリアアップにつながる」は、本人のキャリア感による部分が大きいですが、自分のキャリアを自分で選択できる余地があるかどうかに左右されます。
(4)の「同期と仲が良い」については、イマドキの若者はSNSで同期入社の仲間とずっとつながっているので、新卒採用を行っている企業であれば自然とコミュニティが立ち上がります。しかし、会社のネガティブ情報も波及しやすいので注意が必要です。
(5)の「簡単にクビを切らない」は、社員にとってはありがたいことではありますが、権利は主張するが義務を果たさない不良社員がはびこりやすくなり、組織風土が壊されてしまう可能性があります。
グレー職場の対応策はあるか?
このように考えるとホワイト企業化は、実現すべき目標ではなく、目指す理想像(時代とともに理想も変わる)と捉えられます。重要なのは、ブラック、グレーの度合いを薄めて、よりホワイトに近づくために努力する企業であり続けていくことができるかどうかではないでしょうか。
そういう意味では、ホワイト化に向けての自社なりのKPI(例えば、1人当たり残業時間、健康診断受診率、平均勤続年数、新卒の3年以内の離職率、平均賃金、従業員満足度、1人当たり利益、自己申告実現度、自己啓発支援利用度等々)を設定し、繰り出すホワイト施策を検証していく――こういった地道なスタンスが、会社に求められているといえるでしょう。
麻野進氏(株式会社パルトネール 代表取締役)のプロフィール
1987年関西学院大学法学部政治学科卒。国内系大手コンサルティングファームにて、医療機関を中心に、マーケティング、人事管理等のコンサルティングを担当した後、人事・組織コンサルティングファーム取締役、SI系コンサルティングファーム シニアマネージャーを経て、現職。全能連認定マスターマネジメントコンサルタント、特定社会保険労務士、産業カウンセラー、早稲田大学 大学院会計研究科 非常勤講師『人的資源管理』担当。大企業から中小・零細企業まで企業規模、業種を問わず組織・人事マネジメントに関するコンサルティング活動に従事。人事制度構築の実績は100社を超え、年間1,000人超の管理職に組織マネジメントの方法論を指導し、企業の組織・人事変革を支援している。入社6年でスピード出世を果たし、取締役に就任するも、その後退職に追い込まれた経験などから「マネジメント」「出世」「管理職」「リストラ」「中高年」「労働時間マネジメント」「働き方改革」をテーマとした講演・執筆活動中。
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