宿泊施設にゴミのリサイクルを求める日本人旅行客は22% 世界の半分以下:宿泊予約サイトのブッキング・ドットコムによる調査
日本の旅行客の8割超が旅行で「環境への配慮」を重視
宿泊予約サイトを運営するブッキング・ドットコム・ジャパン(東京都港区)が30カ国2万9000人以上の旅行者とパートナー施設を対象に2021年度版「サステイナブル・トラベル」調査を実施した。
日本の旅行者の82%が「旅行において、サステイナビリティが非常に重要だ」とし、42%が「新型コロナウイルス感染症の影響で、よりサステイナブルな旅行を望むようになった」と答えた。今後は環境に配慮した旅行の需要が高まることが予想される。
「旅先でどのようなサステイナブルな取り組みに参加したいか」を尋ねたところ、「エネルギー消費量を減らしたい(部屋を出る際にエアコンや電気を消すなど)」(71%)や「旅行中のごみの量を減らしたい」(71%)などの回答があった。日常で行える心がけを旅先にも取り入れようとしていることが分かる。
日本と世界で差が開いたのは「旅行者が宿泊施設にサステイナブルな取り組みを求めるかどうか」という質問だ。世界の旅行者の53%が「滞在先にゴミをリサイクルする仕組みがないなど、サステイナブルな取り組みがないと不満に思う」とした一方、日本は22%と半分以下だった。
世界の旅行者は自身の行動を変えるだけでなく、宿泊施設側にもサステイナブルな働きかけを求めるが、日本は自身の行動変容にとどまっている。
サステイナブルな宿泊施設への滞在意欲を尋ねたところ、世界の旅行者は81%が「泊まりたい」と回答。日本の旅行者は36%と20年の29%から増加したが、世界に比べると意識の低さが目立つ結果となった。
ブッキング・ドットコムのパートナー施設(3390軒)にサステイナブルな取り組みを実施しているかを尋ねた。4分の3が「実施している」と回答したが、「取り組みについてユーザーに積極的に伝えている」のはわずか31%だった。59%は「チェックインの際に取り組みについて伝えている」と回答した。
「過去1年間でサステイナブルな宿泊施設に滞在しなかった」と回答した日本の旅行者は61%にのぼる。そのうち「そのような宿泊施設の存在を知らなかった」が54%、「探し方がわからなかった」が28%という結果になった。サステイナブルな旅行に対する意識は高まっている一方で、宿泊施設側がその需要を認識できていないという課題が浮き彫りになった。
新型コロナウイルス終息後、旅行業界は盛り上がりを見せることが予想される。宿泊施設はサステイナブル・トラベルという人々の新しいニーズをくみ取り、事業を展開していくことが求められるだろう。
旅行客に対する調査は21年3月にインターネットで実施。30カ国・地域の18歳以上の男女で過去12カ月で1回以上旅行をしたことがあり、21年も旅行をする予定がある2万9349人を対象とした。宿泊施設に対する調査は21年4月にインターネットで実施。3390軒を対象とした。
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