2015年7月27日以前の記事
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急成長のサンコーが、「オモシロ家電」を追求する意味とは家電メーカー進化論(5/6 ページ)

「サンコー」といえば、ユニークで一風変わった「おもしろ家電」で知られるメーカーだ。面白さと同時に、コスパの良さと便利さも備え、人気を博している。この「おもしろ家電」を開発できた秘密とは一体何なのか。サンコーの山光博康CEOに話を聞いた。

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今までにない機能は、それだけで「面白い」

――サンコーの製品は、便利なだけではなく「面白い」ことをコンセプトにしていますが、サンコーにとって面白い製品というのはどういうものなのでしょう。

 一言で「面白い」といっても、使い心地が面白いとか、見た目が面白いとか、いろいろな意味があると思っています。ですので「面白い」の方向性は限定していません。ふわっと「あ、コレ面白いね」と思える製品ならなんでもOKです。

 特に今までにない機能は、それだけで「面白い」と感じることが多いですね。面白いものを作ろうと思わなくても、新しいジャンルの製品を作ると自動的に「面白い」製品ができると感じています。

 面白くて役に立ちつつサンコーらしい製品というと、個人的には「アイロンいら〜ず」ですね。サンコー最初の家電はUSBハンガーでしたが、ハンガーだと洗濯物の下の方がなかなか乾かない。そこで、衣類全体が素早く乾いて、かつ自動的にシワも伸ばせる製品、という目的で開発されたのが「アイロンいら〜ず」です。これはエアバッグで衣類を膨らませて乾燥と同時に衣服のしわ伸ばしもするのですが、見た目も面白いですし、アイロンいらずで便利という、実にサンコーらしい製品です。

――かつて、サンコーレアモノショップというとマニアな男性ターゲットという印象があります。しかしこの数年、テレビや雑誌などの影響で女性への認知度も上がっています。これには何か理由があるのでしょうか。

 以前の当社は、新製品の企画などを優先していたため、広報専門の担当者がいませんでした。今は専門担当者がいて、プレスリリースを発信したり、ECサイトの商品説明をしっかり作ったり、マスコミからの問い合わせに素早く返信したりと、そういった当たり前のことを当たり前にできるようになりました。その結果、マスコミ内でも口コミで評判が広がってサンコー製品の露出が増えるようになりました。21年4月末の段階で、テレビの露出は累計100回近くありますね。

 テレビ放映されたからといって製品が爆発的に売れるとは限りませんが、ロゴなどが頻繁に露出することで「サンコー」というブランドの認知度は上がっていると思います。実は、ロゴを製品に印刷するというルールも、この3〜4年でできました。以前はロゴが分かりにくい場所に印刷されていたり、そもそもロゴ印刷を忘れていることもありました。出来上がった製品のチェックで、「あ!ロゴいれるの忘れてた」みたいなこともありましたね(笑)。

――メーカーがロゴを付け忘れるというのは珍しいですよね。

 今の規模になると、「サンコーの家電は安全」「サンコーの家電は面白いし便利」など、ブランドイメージは重要だと思っています。ですが当初は、ブランドイメージを向上させようという気はありませんでしたね。とにかく、どういう製品が面白くて役に立つのか……そればかり考えていて、ブランディングは二の次三の次という感じでしたね。

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