技能実習生は今も「低賃金・重労働」の担い手なのか? 「夕張メロン問題」から考える:働き方の「今」を知る(4/5 ページ)
夕張メロンの減産がニュースになり、その理由が「技能実習生不足」ということから大きな話題を呼んだ。「低賃金・重労働」を押し付けられ、過酷な事情を耳にすることも多い同制度だが、実情はどうなっているのか。
技能実習生の登録支援機関で、産学連携支援を手掛ける一般社団法人 JIC協同組合支援協会の丸山理事長はこのように語る。
「確かに、過去のわれわれの同業者の中には、ご指摘通りの悪質な団体も多く見受けられました。しかし近年では、低俗な監理団体や劣悪な環境を作っている実習実施者を取り締まり、また適正な処分をするなど罰則も付けて厳しく対処されるようになり、以前のような悪質な技能実習自体が減ってきていると思います」
そう、実はわれわれの知らないところで、技能実習制度自体が大きく変わってきているのである。
従前は制度自体を直接規律する法律がなく、制度趣旨を理解しない事業者が、人手不足を補う安価な労働力の確保策として制度を悪用し、結果として技能実習生が低賃金で酷使されるなど、労働関係法令の違反や人権侵害を生じていた事実があった。これについては、関係者の多くが認めるところである。
そこで改善策として、「外国人技能実習機構」が設立されたのは先述の通りだ。具体的には、新たに設けられた監理団体や実習実施者の許認可を担い、技能実習計画の認定、実習実施者・監理団体への調査や実地検査などの監査業務、技能実習生への保護や支援業務を行っている。
さらに技能実習法では、法令違反がなく、技能評価試験の合格や指導・相談体制等において優れた監理団体や実習実施者に対しては、技能実習生の受入枠の拡大を認め、より高度な技能実習が行えるようにし、所定の技能評価試験に合格した技能実習生の最長実習期間を現行の3年から5年に伸長するなどの拡充策も盛り込んでいるのだ。
「一部の劣悪な事業者において、実習生が安価な労働力として扱われ、被害者となっていることは事実だとは思います。ですがほんの一部でのことで、また労働基準法を無視した雇用や不法行為などは、今の機構活動体制の中では、仮にあったとしても、継続して行うことは考えられません」(丸山氏)
衝撃的な報道に至るような、悪質な事業者は一部ということだ。その前提で先ほどの「外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導状況」を見返してみると、グラフに注記された、とある1文に気付かされる。
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