新たな可能性、「プロフェッショナル派遣」は日本を救えるか?(1/3 ページ)
日本の終身雇用制度は数年前から崩れ始めている。市場変化の激しい今、正社員のみでは、社内の改革やイレギュラーな事象に対応できない。では、どうするべきか。筆者は「プロフェッショナル派遣」を解決策の一つと見ていて……。
日本の終身雇用制度は数年前から崩れ始めている。
安定性には優れているが柔軟性に欠ける正社員雇用のみでは、激しい市場変化にもう十分な対応はできない。特に、企業の進化に伴って発生する新規事業の立ち上げ、システムの導入、合併などのイレギュラーな状況では、社内に必要なスキルとノウハウを持っている人材がいないことが多い。既存社員のみでどうにか賄うことが難しくなっている。
同時に、労働者のニーズも多様化している。IT業界を筆頭に普及してきたフリーランスという働き方が他の職種でも増加、さまざまな理由で正社員ではない働き方を希望する人が増えている。そのため、企業は正社員という形に固執せず、有効な労働力を柔軟に活用しながら、企業に必要なリソースを補うことが求められている。
労働力を補うための、外部リソースの活用
マクロレベルで考えると、国内総生産を増やすには労働人口を増やすか、1人当たりの生産性をテクノロジーの駆使などで上げるかという2つの選択肢しかない。企業レベルで生産性を上げる場合も同様である。
しかし、日本の15〜64歳の人口は右肩下がりであることに加え、2007年から超高齢社会に突入している。
女性の就業率は年々上がってきてはいるが、専門性を求めないパートタイムのポジションも多く、根本的な人材不足解決への貢献度は大きくない。IT領域では、海外から高度人材を採用するケースも多く見られるが、それ以外の領域ではまだハードルが高い。
厚生労働省は、これまで副業や兼業に対して消極的だったが、2020年10月に発表した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」でアプローチを大きく変えた。
社内のリソース不足を解消するにはいくつかの方法がある。
1つ目は、業務の外注だ。専門の企業に外注することで必要な知識・スキルを期間限定で確保できる。一方、コストが莫大になりがちで、セキュリティの問題や指揮命令ができないデメリットもある。
2つ目は、派遣社員だ。柔軟性の高い労働力の確保を目的に広く活用されている。必要なときに必要なスキルを持っている人材を期間限定で雇用できる。指揮命令が可能な点は、外注と比べメリットだ。
しかし、日本の派遣は一般に、業務の専門性が低いことが多い。日常業務のサポートには適しているが、高い専門性を必要とするプロジェクトには対応できない。
3つ目に、専門性が高く、期間限定で、指揮命令も行える、外注と派遣のいいとこ取りをした外部リソースがある。これが「プロフェッショナル派遣」だ。プロフェッショナル派遣という言葉の認知度自体はまだ高くないが、近年企業からのニーズが増加している。
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