“日本一の朝食”を出す函館のホテル 宿泊客数を抑えてまで守ったモノとは?:連載・瀧澤信秋「ホテルの深層」(4/4 ページ)
日本一の朝食と言われるセンチュリーマリーナ函館は、宿泊予約流入をコントロールし“稼働を落とす”ことを指示。宿泊客を減らしてまで実現したかったこととは?
コロナ禍で失ったものと、見えてきたチャンス
センチュリーマリーナ函館では“プレミアムブレックファースト”なるものをスタートした。反保氏は「ハイフロアに位置する“プレミアムフロア”に宿泊するゲストのみ特別な朝食をチョイスできる」とする。
コロナ禍からの回復期を見込んでさらにブラッシュアップしているので、時期が来れば「一気に回復させる自信がある」という。これも付加価値を鑑みたホテルの戦略といえよう。
コロナ禍において、朝食のさらなる進化、高単価化の実現、コスト削減3年計画の圧縮など、ホテル全体で多くの改善ができたというセンチュリーマリーナ函館。
予約が殺到し、朝食会場が大混雑していた頃を「正直、あのままいっちゃうとちょっと心配だった」と中野氏は振り返る。“コロナ禍で失ったものはあるが、収益性の高いマリーナの未来を実現できるチャンスは得た ――” 中野氏はいつもポジティブだ。
著者プロフィール
瀧澤信秋 (たきざわ のぶあき/ホテル評論家 旅行作家)
一般社団法人日本旅行作家協会正会員、財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボード。
日本を代表するホテル評論家として利用者目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。その忌憚なきホテル評論には定評がある。評論対象は宿泊施設が提供するサービスという視座から、ラグジュアリーホテルからビジネスホテル、旅館、簡易宿所、レジャー(ラブ)ホテルなど多業態に渡る。テレビやラジオ、雑誌、新聞等メディアでの存在感も際立ち、膨大な宿泊経験という徹底した現場主義からの知見にポジティブ情報ばかりではなく、課題や問題点も指摘できる日本唯一のホテル評論家としてメディアからの信頼は厚い。
著書に「365日365ホテル」(マガジンハウス)、「最強のホテル100」(イースト・プレス)、「辛口評論家、星野リゾートへ泊まってみた」(光文社新書)などがある。
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