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やはり「電話」はいらないのか 不要論の背後に、皆が気付かない「力学」:“いま”が分かるビジネス塾(2/4 ページ)
ネット上で、たびたび「電話不要論」が話題になる。「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏が発言したことで、また盛り上がりを見せているが、なぜ両者の意見に食い違いがみられるのか。その背景にあるのは……。
多くの人が欠落している視点
世の中では電話不要論に対して今でも賛否両論があるわけだが、多くの人に欠落している視点がある。それはコミュニケーションを取る相手との力関係(権力関係)である。結局のところ、電話問題の本質はここにあり、当該部分を抜きに電話の是非を議論しても永遠に解決策は出てこない。では、電話不要論と権力にはどのような関係があるのだろうか。
説明するまでもなく電話は同期通信であり、お互いが同時刻にツールを使わなければコミュニケーションを取れない。一方、電子メールは相手と同時刻に利用する必要がないので、非同期通信である。LINEに代表されるコミュニケーションツールは、同期、非同期、両方の性質を持っており、チャットのように使えば同期ツールになるし、電子メール的に利用するなら非同期ツールになる。
電話が同期通信である以上、あらかじめ電話する時間を決めておかない限り、どちらが一方的に電話をかけなければ通話を始めることはできない。「一方的に電話をかける」ことが問題の根幹である。
立場が弱い人(例えば部下や顧客に営業している営業マン)は、基本的に一方的に連絡することはできない。上司でも秘書のような役割の社員がいる場合、電話を取り次いでもらえる保証はないし、営業マンが顧客に電話をしても居留守を使われるかもしれない。個人の携帯にかけたとしても、相手の立場が強ければ、留守電を聞いてからしか返事はもらえない。
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