国外から“フルリモート勤務”の総務担当者 どうやって働いているのか:夫の海外駐在に同行10年(2/3 ページ)
リモートワークが普及した一方、「出社せざるを得ない」とされる職種も少なくない。総務担当者はその代表例だ。しかし、一部ではフルリモートで働いている総務担当者もいる。どのように働いているのか。
オフィス常駐ゼロ、郵便物は自宅転送
一般に総務の仕事はリモートワークが浸透しにくいといわれている。総務の専門月刊誌「月刊総務」の調査によると、1回目の緊急事態宣言中、「完全にテレワークだった」と回答した総務担当者はわずか1.6%だった(回答者数は320人)。郵便物の確認、契約書の押印など出社が必要な業務がある、というのが主な理由だった。
当社は日本のメンバーもフルリモートなので、都内のオフィスに常駐者はいない。皆、自分の働きやすい場所と時間で業務を進めている。創業当初、郵便物はメンバーが定期的に確認していたが、最近は代表である私の自宅に転送されるようにしたため、会社に行って郵便物がないかチェックする作業は不要になった。
契約書など書類に関しては、電子契約書が大半だが、紙の契約書で郵送が必要なケースもある。「代表印を押したり、郵便局に行って郵送したりといった物理的に対応が難しいことは、他のメンバーにお願いするが、相手の負担を最小限にするよう工夫している」(酒井さん)
その他の郵送が必要な書類は送付物のデータと宛先を入力すると、郵便局が印刷し発送してくれるサービスを利用する。また、紙の請求書が必要な場合もクラウド経理ソフトの郵送代行サービスなどを使うことで、遠隔から郵送業務ができるようにしている。
当初、総務担当は酒井さん1人だったが、現在は2人のメンバーが新たに総務チームに入った。酒井さんは今、営業チームのサポートに仕事の軸を移しつつある。
酒井さんの稼働は1日平均2〜4時間で、1カ月で見ると60〜70時間ほど。当社は時給制のため、それぞれのメンバーが稼働できるタイミングで業務を進める。週1回のオンライン会議やSlackでコミュニケーションをとり、日本にいるメンバーとほぼ変わらない環境だ。
フリーランスになって、今よりも高い報酬を得るという選択肢もあるが、今は考えてはいないという。「海外での生活は、実家に頼ることは難しい。子どもとの生活を第一に考えた時に、完全在宅で働くことができる今の働き方が私には合っている」と話す。
「日本で働くことを考えて」エストニア在住のエンジニアも参画
もう一人、当社にはエストニアから参画しているメンバーがいる。エンジニアの南さん(仮名、20代男性)だ。日本で就職した後、エストニアの大学に留学。大学卒業後は現地企業にソフトウェアエンジニアとして就職した。今もエストニアで働きながら、当社でシステム開発を担当している。
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