コロナ禍で“家で着る服”が超細分化? 各社の新ブランドから透ける“苦渋の決断”:磯部孝のアパレル最前線(2/4 ページ)
コロナ禍がダメ押ししたような形で続くアパレル不況。そうした中でも売り上げが好調なカテゴリーが「家着スタイル」と呼ばれる新たなファッションキーワードだ。
細分化する「家着スタイル」
20年10月にはファーストリテイリング傘下のユニクロが、寝具やラウンジウェア、パジャマをそろえた「UNIQLO at home」を展開。また、ユナイテッドアローズが展開する「green label relaxing(グリーン レーベル リラクシング)」も同月、「新しい暮らしを豊かにする服」をコンセプトとした新ライン「Livelihood(ライブリフッド)」を発表した。
各企業の主な新ブランド・ラインをまとめてみた。面白いのは、ローンチした時期が20年9、10月に集中していること。その理由は、最初の緊急事態宣言発出時(20年4月7日〜5月25日)に、各社が急いでコンセプト立てて対応を協議したからで、コロナ禍の継続性と新生活様式を先見した結果だともいえる。
家着スタイルは、そもそも「ホームウェア」という分類に属していた。この分類はインナー類やパジャマなども扱われているジャンルだ。そこにコロナ自粛を強いられた生活様式から「リビングウェア」という新たな呼び名とともに、新ファッション・カテゴリーとして生まれることになったのだ。
しかし、このホームウェアとリビングウェアの境は実に微妙でもある。LINEリサーチが全国の15〜59歳の男女を対象に実施した調査では、夜寝るとき、パジャマを着用すると答えた男性は28%と低い着用率だった。また女性も半数近くはパジャマではなくカジュアルなTシャツ、スウェット類を着て就寝している。
家にいる場合は、起きたまま着替えずにそのままの装いで過ごしたり、家に帰ってから着替えた格好のまま就寝したりする人も多いのかもしれない。そんなカジュアルな装いがそのまま、家で装う「リビングウェア」として分類できてしまう点が、ホームウェアとの境を難しくしてしまう一因ともいえる。
例えば、家に宅配業者が食事や荷物を届けに来たとしよう。着替えずにそのまま対応できれば、リビングウェアとして機能していると考えても良いのではないか。では、そのままの格好で、犬の散歩や回覧板を回したり、近くのコンビニまで出掛けたりするだろうか。
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