コロナ禍で“家で着る服”が超細分化? 各社の新ブランドから透ける“苦渋の決断”:磯部孝のアパレル最前線(3/4 ページ)
コロナ禍がダメ押ししたような形で続くアパレル不況。そうした中でも売り上げが好調なカテゴリーが「家着スタイル」と呼ばれる新たなファッションキーワードだ。
ユニクロのヒット商品「ジャージーリラックスアンクルパンツ」
ユニクロが、在宅勤務経験が1カ月以上ある20〜50代男女400人を対象に実施した「ニューノーマル時代の部屋着に関する調査」によると、54.8%が「部屋着で過ごす時間が増加した」と回答。部屋着を着ていたことで経験した失敗として「宅配便が来た時にひどい服装で出てしまった」(27.9%)、「急な来客があり焦って着替えた」(23.3%)、「着古した部屋着を見られて恥ずかしかった」(10.2%)と、見た目に関する失敗談が多く挙がった。
そんなユニクロが再編集して打ち出したUNIQLO at homeで20年秋に大ヒットした商品がある。それは「ジャージーリラックスアンクルパンツ」で、デニムとコーデュロイ見えする2素材でスタートさせたイージーパンツだ。家だけでなく外でも使えるリビングウェアの活用法を訴求した結果、1990円(税別、発売当時)という値ごろ感も加わって、男女問わず多くの支持を集めた。
リビングウェアは「ワンマイル・ウェア」とも呼ばれる。そう、このワンマイルは家から1マイル(1.6キロ)の外出を目的としたファッションカテゴリーだ。以前からワンマイルファッションをコンセプトにしたカジュアルラインの開発もあったが、なかなか根付かなかった。見栄えとファッション性の付与具合と価格設定の難しさがあったからだ。
あまりに見栄えのしない品ぞろえだと、一見してホームウェア寄りに見えてしまい、逆にファッション感度を上げてしまうと外出着との境が曖昧になりかねず、実に微妙な境となる。裏を返せば、外で着た洋服はそのまま家着として過ごせるのか。あるいは、寝る時の装いはどうするのか。それぞれの生活者の生活様式上のルールによって境が決められていくのが現状なのだろう。
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