行動経済学はビジネスに、どう役立つのか:さまざまなシーンで注目(2/3 ページ)
行動経済学がさまざまなところで注目され、具体的な応用シーンが生まれている。 企業での導入、展開はどうなのだろうか。
企業での導入、展開はどうかというと、マーケティングへの展開例が増加している。巷でも、「行動経済学をマーケティングに生かす」的な書籍やWebサイトが相当増えてきた。
はやりものに目がないコンサルタントの方々は、「この施策は、行動経済学でいう○○効果で実証されておりまして……」などとおっしゃっているのだろう。
行動経済学という、キャッチ―なネーミングと「人は常に合理的な選択をするわけではない」という、知ったようなコンセプトは、これまでの王道だったコトラーのマーケティングに対する新しい知見的な位置づけで、ブランディング的にも文句ない。
ただしかし、よく見かける話は、以下のようなB2C志向のものばかりだ。
「通常価格○○円を50%オフの○○円!」=アンカリング効果
「今日までのサービス!」「メンバーだけのサービス(一般価格だと○○円かかる)」=プロスペクト理論
「ここまでかけた費用が「もったいない」=サンクコスト
「松竹梅の法則(中央の価格の商品を選びがち」=おとり効果
「もれなくプレゼント」「今なら確実に当選(すぐに利益を得られる)」=現在志向バイアス効果
「論理だけでは説明がつかない非合理的な理由」に基づく行動として紹介されているものも、「同調」「見栄や虚栄心」「配置の仕方」「世間的な評判」「射幸心」「誰かが決めたルール」「難しさを避ける」といったようなもので、やはりB2Cを想起させる。
「論理だけでは説明できない」という観点だけとれば、組織対組織(B2B)の仕事こそあてはまりそうな話だ。どうみても(論理的には)、クオリティも費用も上回っているにもかかわらず、関連部署の関係、複雑な人間関係、トップの鶴の一声などなど、いろいろな不合理なことが起きて、取引の意思決定がなされる。
ただし、なまじっか前述したような「○○効果」的なことを、表面的に仕込んでも、逆効果になってしまうだろう。テクニカルなこと、「ひっかけ」的なものは、すぐにばれてしまい、拡大どころか取引停止がおちだ。
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