オリンピックで「人流」は増加するのか 見落とされている過去の“事実”:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
合理性を欠く新型コロナウイルス感染症対策に耐え切れない飲食店が続出している。「緊急事態」と「まん防」はいつになったら終わるのか。筆者がそろそろ「正常化に向けた準備を始める時期」と考える理由は?
プロ野球やJリーグは有観客
オリンピックを会場で観戦する人の数は、テレビを見る人に比べれば一握りだ。しかし、1万人までの有観客にして問題はないのかとの懸念もある。尾身氏自身、そう訴えている。
ところが、プロスポーツは観客を入れ始めている。もちろん、入場制限など感染症対策をしっかり行った上のことだ。
例えば、6月18日(金)、19日(土)、20日(日)、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催された阪神対巨人戦では、観客数はそれぞれ7641人、7506人、8751人だった。甲子園球場の収容人数は4万7508人であり、かなり絞っての有観客開催であった。
同じく6月18〜21日に、仙台市の楽天生命パーク宮城球場で開催された楽天対オリックス戦では、観客数はそれぞれ1万976人、1万3091人、5396人だった。宮城球場の収容人数は、3万508人である。
サッカーのJ1リーグはどうか。6月20日に茨城県鹿嶋市の茨城県立カシマサッカースタジアムで開催された鹿島アントラーズ対ベガルタ仙台戦では、入場者数は9312人のだった。同スタジアムの収容人数は4万728人だ。
大相撲5月場所は、東京都墨田区の両国国技館で開催された。3日目までは無観客だったが、4日目(5月12日以降)は規制が緩和され、千秋楽の23日まで上限5000人とする有観客で開催した。両国国技館の収容人数は、1万1098人である。
プロ野球、Jリーグ、大相撲と、それぞれ数千から1万程度に限定した有観客で開催し、大きな問題があったとは聞いていない。
尾身氏は、オリンピックは特別に国民が熱狂する行事と考えているようだが、実態はひいきのプロ野球チームが優勝することに興奮する人のほうが多いのではないか。例えば、2000年のシドニーオリンピックではマラソン女子で高橋尚子選手が、日本の陸上女子で初の金メダルを獲得した。一方、関東の翌日のスポーツ紙1面は、たまたま同日に重なった「巨人優勝」一色だった。
上限1万人で定員の50%以内といった、オリンピック各会場の観客数の取り決めは、上記のような各取り組みで検証済みと主催者側は考えるだろう。最大会場の国立競技場は6万8000人を収容するので、1万人を入れても、間隔を空けて座ればスカスカだ。
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