連載
“鉄道観光ビジネス”再起動、失われた2年間をどう取り戻すのか:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(8/10 ページ)
沖縄県を除く緊急事態宣言解除、新型コロナウイルスワクチン接種の進ちょくを見越して、鉄道旅行ビジネスが活気づいてきた。冷え切った観光需要を「元通り」にするには、「元通り」の商品展開では足りない。そこで「工場夜景ツアー」「観光急行列車」「おみやげ品割引」など、注目の事例を紹介しつつ、今後の新施策に期待したい。
「ひみつ」はきっぷの名前だけではない。ポイント還元制度「JRE POINT」のグリーン券交換ポイント数を8月末まで下げる。平日にも使えるおトクなきっぷを紹介する。平日にハイキングイベントを開催する。これらをすべて「ひみつの……」とくくった。JR東日本は「混雑を避けた平日の旅や移動を応援する」という主旨で、「ひみつの平日パス」の紹介サイトから観光地情報のリンクを貼っている。
「ひみつの平日パス」専用のTwitterアカウントも用意して「ひみつ」情報を発信する。きっぷ単体のTwitterアカウント設置は珍しく、大人2720円のきっぷ商売でここまでやるか、と思うほどの気合いを感じる。ここにも思慮深い戦略がある。
旅行需要が拡大するとしても、いきなり長距離長期間の旅が売れるわけではない。近距離の日帰り旅行から始まり、徐々に拡大していくと見られる。まず、自粛慣れしてしまった人々に旅を思い出していただく。そこでまず近距離旅を徹底的にテコ入れする。
「ひみつの平日パス」は旅行需要を再起動させる着火剤の役目を持っている。
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