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企業の意識を「性善説」に変えていけ 経費精算クラウドトップ「コンカー」の三村社長(2/4 ページ)

コンカーは国内経費精算市場のトップ企業だ。特に大手企業への導入で強く、金額ベースのシェアでは7年連続でトップ、シェアは50%を超えている。コロナ禍でデジタル化への関心が急上昇する経費精算。コンカーは、経費精算の未来をどう捉えているのか。三村真宗社長に聞いた。

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——性善説ベースに変わると実務はどうなるのか。

三村社長 従来は、管理職から経理に出して、ミスや違反があれば差し戻しになっていた。コンカーの場合、入力時に「違反の兆候がありますよ」と通知を出す仕組みだ。

 承認者の観点からすると、現在の経費の承認はザル承認が横行している。なぜ起こるかというと、少額のクリーンな経費も、重めの怪しめな接待経費も、区別なく管理職の承認を求めるプロセスになっているからだ。管理職としてはわらの中から針を見つけるような作業になる。

 コンカーが推進しているのは承認レスという考え方だ。リアルタイムチェックで違反が検知されなければ、クリーンな経費。それを管理職が見ても違反は発見できない。こうしたクリーンな経費は承認をスキップする。性善説のシステム的な実装だ。

 違反の痕跡があるものだけが上長に回ってくる。上長がチェックしなくてはいけないものは大幅に少なくなる。管理職についての経費精算業務はメリハリがきいて、工数も減る。

 経理の視点では、これまで業務の精度が高くなかったので、最後の砦(とりで)として、経理部門が労働集約的にチェックをしていた。人手不足が叫ばれる今日、経費精算のような付加価値を生まない業務に人手を割くべきではない。

 これによって30分、1時間掛けて入力していた作業がなくなる。軽い不正の痕跡があったりすると、コンカーが自動的に検知する。違反というのは、交際費の上限が8000円なのに8000円を超えるという軽微な違反から、領収書の画像を使い回すという悪質なものまであるが、コンカーの中で日付と支払先などを見て重複を自動検知する仕組みを持っている。

——本当に悪意のある不正は検出できるのか?

三村社長 一件一件の経費精算に対して、リアルタイムチェックで不正を検知するのは限界がある。経費規定のルール内で経費を使っていたら、クリーンな経費としてしまう。個々の経費を見ても検知できないので、データを集約してAIが不正がないか検知している。営業の接待は月に2回が平均なのに、月に10回やっているとなったら、これはおかしいとなるわけだ。

 接待に使う店の情報も、AIがデータベースを参照してチェックする。似たような人が同席者として毎回出ていないか、などいろいろなロジックを使って検知する。フォレンジック(証拠の情報解析)に対する意識が高まっているが、社員にそれを伝えるだけで、不正をやる気がなくなるだろう。

——承認レスの導入へのハードルは。

三村社長 責任論の観点で、クリーンなものであっても上長がスキップしていいのか、上長の監督責任はどうなるのかという話になりがちだ。しかし意味のない承認をしていても上司のチェックは一向に進まないので、行程を自動化して怪しいものだけチェックした方がいい。

 現状、承認レスをやっている企業は、イノベーティブな企業に限られる。野村総合研究所、日本IBMなど10社いくかどうかくらいだ。しかし、これも間もなくAI不正検知が日本マーケットに入ってきたら変わるだろう。海外でも2月から販売を開始した。引き合いはものすごく多い。

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