なぜ洋服の青山は、スナックのママを“AI化”したのか:悩み相談チャットボットサービス(2/2 ページ)
青山商事が、スナックのママを“AI化”した悩み相談チャットボットサービス「AIチャットボット スナックママ『よしこ』」を公式Webサイトで公開した。
ビジネスパーソンとの関係強化
開発に至った背景について同社は「ビジネスパーソンとの関係を強化するための新たな取り組みの一つ」と説明する。
紳士服市場のボリュームゾーンは20〜40代。しかし洋服の青山ではこれまで、十分にこの層を獲得しきれていなかったという。そこで、店舗以外で若いビジネスパーソンと接触する場所を設けることができないか検討を重ね、コロナ禍で仕事の悩みやストレスを抱え込む若いビジネスパーソンが多いことに着目。悩みを聞くチャットボットの開発に至ったという。
実際、長引くコロナ禍で疲れを感じている若者は多い。内閣府が行った調査によると、コロナ疲れを「感じる」「やや感じる」と回答した人はあわせて71.6%。年齢別では20代が74.8%と最も多く、若い世代ほどストレスを感じている傾向がある。
「よしこママ」の開発にあたり、同社では21年3月から、宮崎市最大の繁華街「ニシタチ」エリアのママたちを対象に50時間のインタビューを実施。ビジネスパーソンから得た悩みをスナックのママ数人に質問し、そのアドバイスを解析、ビッグデータ化した。
スナックといえば、中高年の男性客が多いイメージだが、実はコロナ禍前には、20〜30代の若者の間で「スナックブーム」が起きていた。カウンター越しにママと会話をしたり、お客間で交流が生まれたりする雰囲気が若者の間で再評価されていたのだ。ネット上ではスナックの情報を集めたサイトが存在し、スナック好きの人を指す「スナッカー」や「スナック女子(スナ女)」という言葉も生まれていたほどだ。
また、相談のしやすさという点もスナックのママを選んだ理由だ。「誰なら相談しやすいか検討を重ねました。その結果、職場の上司や同僚は、関係が近すぎたり恐縮したりして質問しにくいが、利害関係のない『スナックのママ』なら話しやすいのではないかとの結論に至りました」(青山商事担当者)
今後同社では、どのような悩みが寄せられるのか、相談相手がスナックのママが適任なのか検証を進めるという。また分析結果を基に、若いビジネスパーソンの悩みを解決する新しい製品の開発に生かしたいとしている。
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