田原総一朗に森永康平が問う どうすれば日本経済はコロナ禍を乗り越えられるのか?:いまこそ積極財政をせよ(4/4 ページ)
コロナ禍において国家は、生活困窮者を中心に国民全員を支援するべきであるものの、これ以上の財政出動をすれば日本は財政破綻してしまうかもしれない――。それでは、日本政府はいかにして現状を打破すればいいのか。京都大学大学院の藤井聡教授とともに『こうすれば絶対よくなる! 日本経済』(アスコム)を上梓した田原総一朗氏に聞いた。
リーダーは「Yes /No」をハッキリせよ
――田原さんはこれまで多くの政治家や企業経営者と会っています。その中で、「この人はリーダーだな」と思った人は誰ですか?
まあ田中角栄だよね。それから中曽根康弘、小泉純一郎もいいね。
――共通する要素はありますか?
「Yes/No」がハッキリしていることだね。小泉が面白かったのは、2001年の自民党総裁選の時に、小泉は亀井静香と政策協定を結んで、亀井は本選を辞退した。その後は小泉の応援にまわり、小泉総裁誕生に大きく貢献した。しかし、小泉は政策協定を反故(ほご)にした。そこで僕は小泉に「倫理的に問題があるんじゃないか」と言ったんだ。
すると、小泉は「確かに倫理的な問題はあるかもしれない。だけど、亀井さんの言うことを全て聞いていたら痛みを伴う構造改革はできない」と返してきた。
――なるほど。ある意味で日本人らしくないですね。多くの日本人は恩義を重んじてしまいますから、自分を立てるために折れてくれた人がいたら、ついつい相手に配慮してしまうものです。
中曽根もそういうところあったんだよ。中曽根が総裁選を勝ち抜いたあとに取材をしたときに、「みんながあなたを風見鶏(かざみどり)だと批判している」と言ったら、中曽根は「風見鶏だからいいんだ」と。「風を見ない鳥は危なくて仕方がない。世界の大物政治家はみんな風見鶏だ」って言い切るんだよね。
だから、リーダーは自分の主張を貫きつつも、風見鶏のようなバランス感覚も同時に持たないといけない。面白いでしょ?
――確かに攻守のバランスが取れていないと、長期的に多くの人を導き続けることはできませんね。田原さん、今日は長時間にわたるインタビューを受けていただきありがとうございました。
はい、どうもありがとう。これからも頑張ってください。この国はどんなことを言っても大丈夫な国だから。(敬称略)
著者プロフィール
森永康平(もりなが こうへい)
株式会社マネネCEO / 経済アナリスト。証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。その後はインドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国にて法人や新規事業を立ち上げ、各社のCEOおよび取締役を歴任。現在はキャッシュレス企業のCOOやAI企業のCFOも兼任している。日本証券アナリスト協会検定会員。著書に『MMTが日本を救う』(新書/宝島社)や、父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(新書/ KADOKAWA)がある。 Twitter:@KoheiMorinaga。
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