53年ぶりに進化! 手で真っすぐに切れる「スパスパ」は、どうやって開発したのか:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
「プチプチ(R)」を製造している川上産業が、新商品を発売した。四角くて手で真っすぐに切れる、新しいプチプチである。その名は「スパスパ」。53年ぶりに進化した商品は、どのようにして開発したのか。担当者に話を聞いたところ……。
スパスパの特徴
スパスパの特徴は、6つある。(1)ポッチとポッチの間のミゾ部分に手で切り込みを入れて割くと、スパっと切れる(2)基盤目配列でポッチを数えやすいので、包むモノのサイズに合わせて梱包できる(3)従来のプチプチと同じように、包むときに破れることはほとんどない(4)開けるときも、手でスパッと切ることができる(5)リサイクル率は80%以上――。そして最後の(6)が最も重要で、スパスパでもプチプチを楽しむことができるのだ。
と、ここまで書いて、気になることが一つ。スパスパをどうやって開発したのかである。四角のポッチとポッチの間にミゾがあって、そこを起点に切ることができるので、素人の筆者は「それほど難しいことではないよね」と思っていたが、話を詳しく聞いてみると、それはとんでもない勘違いであることが分かってきたのだ。
開発がスタートしたのは、2004年のことである。一万円札が福沢諭吉になって、ヨン様フィーバーがあって、iPod miniが登場して。そんな年に「こうしたらどうか」「いやいや、それだとダメでしょ」といった会話を重ねながら、モノづくりを行っていたのである。
では、具体的にどんなことをしていたのかというと、やはり「切れるようにすること」が難しかったようだ。素材の樹脂は、基本的に強い。厚みを薄くしても、手で真っすぐ切ることは難しい。そんな特徴があるので、うまくいかないのは当然である。「ああでもない、こうでもない」と頭を使って、手を動かしてアプローチするものの、思ったように切ることができない。開発リーダーの佐藤浩司さんは、当時のことをこのように振り返る。「いろいろやってみましたが、うまくいかなくて。チームのメンバーからは『本当にできるのかな』といった声も出てきました」
何度やってもダメ。手で真っすぐ切ることができない――。凡人であれば、そこで断念するはずだが、このチームはちょっと違う。開発がスタートして8年が経っても、「手で真っすぐ切るにはどうすればいいのか」「何かいい素材はないのか」とスパッとあきらめずに、知恵を絞って新しい商品を生み出そうとしていたのだ。
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