なぜ若者はワクチン接種に消極的なのか 本当の理由と背景:解決法(3/6 ページ)
やがて順番が回ってくるワクチン接種に消極的な若者が少なくない。アンケートではその理由はさまざまだが、「絶対接種したくない」という人はむしろ少数で、あいまいなものが少なくない。その本当の理由と背景をみてみると……。
もう一つの主な理由である「ワクチンの安全性/効果に対する不信感」も予想されたものだ。特にファイザー製とモデルナ製は従来のワクチンに比べて圧倒的に短期間で開発され、海外でも日本でも通常より格段に速く承認されている。「こんなに速く開発・承認されているのはどこかで手抜きや見逃しが行われているに違いない」と、陰謀説好きな連中ならよだれを垂らすほど絶好の状況なのだ。実際、世界各地でそうしたフェイクニュースがSNSで拡散されている。
今回のワクチン開発がスピーディなのはいくつかの条件が重なっている。まずファイザーとモデルナのワクチンはメッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれる天然化学物質の人工複製物を使用して免疫反応を起こすタイプで、従来のワクチンと開発・製造工程が全く異なる。ウイルスの遺伝子情報を分析し選択された部分の遺伝子情報を持つmRNAを設計し、そのmRNAが身体の中でウイルスの一部であるタンパク質を作るように狙って人工合成しているのだ。いわば最先端のバイオテクノロジーのおかげで開発工程に無駄がないのだ。
しかも患者が世の中に急増していたので滞りなく大規模な臨床試験を進めることができたのも大きい。たとえ提供される試薬が(本物か偽薬か)2分の1の確率でも、「予防効果を持ちたい」と試験に協力してくれる人たちが大勢いたのだ(開発に遅れている日本のメーカーなどは、既に成功したワクチンが存在する中でこれから大勢の試験協力者を確保できるかは微妙だ)。
もちろん製薬会社自身がリソースをこのワクチン開発に最優先に割り当て、関係者を叱咤激励してフルスピードで開発を進めたことも大きい。なぜそんなことができたか? グローバル規模のパンデミックということは、先行開発に成功すれば膨大な売上と利益が約束されているのだ。他のプロジェクトを差し置いても最優先するのがごく当然の経営判断だ。
しかし手抜きの可能性は限りなく小さい。なぜなら万が一問題が生じてしかも手抜きが発覚すれば、世界中から叩かれてメーカーとして命取りになってしまうからだ。
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