「ブラック校則」で波紋 今の日本社会で、ツーブロックは本当に就職で不利なのか:「異形」か「個性」か(1/5 ページ)
「就職活動に影響する」とツーブロックを禁止する学校が話題に。本当に髪形程度で就職に不利になるのか。そんな社会でよいのか。
2021年6月21日、毎日新聞は「『ブラック校則』廃止の三重県 一部高校がツーブロック禁止」と題する記事を報じました。
ツーブロックという髪形を禁止している理由として、学校側からは「就職に影響するため」と説明があったとされています。もしその説明内容が事実なら、ツーブロックを禁止している原因は学校ではなく、学生たちを採用する企業側のスタンスの方にあるということになります。
他にも、この記事と同様に、生まれつき髪の毛の色素が薄く、地毛が茶色い学生さんが「就職に影響するため」という理由で、就職活動の際に髪の色を黒く染めるよう学校から指示されたという話も耳にしたことがあります。
学校には学校ごとに教育上の考え方や方針があるものです。髪の色や服装、学校施設内でのスマートフォン使用禁止など、その学校が教育に必要だと考えるルールを定めるのは当然のことだと思います。
しかしながら、学校で定められているルールの理由が「就職に影響するため」となると、事情が異なってきます。
確かに、かねて企業が行ってきた採用選考には、画一的なスタイルを好む傾向を感じました。組織の一員として新入社員を迎え入れる上で、企業が決めた方針に沿って一糸乱れずに動くことができるか否かは重要な素養の一つであり、組織からの指示に背かず、素直に業務遂行できる“従順さ”は、採用選考における基本要件だったように感じます。
以前、「上から目線? 経団連が発表した「教育界への提言」が、経済界へのブーメランなワケ」という記事でご紹介した、経団連の「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」によると、「選考に当たって特に重視した点」のトップ5は、1位から順に「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」「協調性」「誠実性」でした。
一見すると「主体性」や「チャレンジ精神」など、必ずしも“従順さ”を求めているようには見えない要素も含まれていますが、トップ5を占める言葉を使って、求める人材のイメージを表現してみると次のようになるのではないでしょうか。
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