“株主体験”で企業のファンに STOCK POINTが挑むロイヤリティプログラム(3/3 ページ)
また一つ、面白い仕組みが登場する。ポイント運用を営むSTOCK POINT(東京都港区)がスタートするロイヤリティプログラムだ。企業と組んでポイントを発行し、そのポイントが企業の株価に連動して増減する。いわば、擬似的な株主になってもらうことで、その企業のファンになってもらおうという仕組みだ。
三菱UFJ銀行も。ポイントが投資の入り口に
さらにSTOCK POINTの仕組みでは、株式に連動するポイントが1株分の価値になったときに実際の株式に転換することも可能だ。
STOCK POINTは、これまでもポイントを株式に連動させて増減させるサービス「StockPoint」を提供してきた。17年12月のサービス開始からの総流入ポイントは8億ポイント。うち3億ポイントが株式に転換されている。気軽に取り組めるポイントを入り口として、多くのユーザーが証券口座を開き、株式運用を開始したわけだ。
証券会社は若年層の投資家を呼び込もうとあの手この手で獲得に努めているが、それでも年間で獲得できる口座数は数十万規模だ。50万口座到達にかかった時間は、ネオモバイル証券で1年9カ月、LINE証券で1年6カ月。一方で、大手のような広告力を持たないStockPointだが、1年間で17万2000ユーザーを獲得し、合計ユーザー数は32万2800に達している。証券口座に比べてアカウントを作るのが容易な点と、現金とは違いポイントは“おまけ”というイメージが強いことが気軽に取り組める要因だ。
「1年で、数十万規模の見込み客を集められるものが、ポイントのほかにあるだろうか」と美好氏は優位性を誇る。
投資への間口を広げるポイントの有効性には、各社が気づき始めた。STOCK POINTの仕組みを使い、秋からポイント運用サービスを提供する三菱UFJ銀行もそのうちの1社だ。大和証券グループ傘下のスマホ証券CONNECTが20年7月にSTOCK POINTの仕組みを採用。ポイント運用によって気軽に株式に触れてもらい、そこから証券口座を開設してもらおうという狙いだ。
「CONNECTで実績ができ、今回三菱UFJ銀行と金融機関が関心を持ってくれている。銀行、証券、アセットマネジメント企業。さらに一般の企業から声をいただくことも増えた。投資のエントリーバーを下げるツールとして使ってもらえる」と、STOCK POINTの土屋清美社長は言う。
ポイント投資の潜在力を生かし、取り組む企業グループも増えた。PayPayは傘下のPayPay証券を通じてポイント投資を提供し、すでに利用ユーザーは300万人を超えた。楽天のポイント運用も400万人を超えている。
ポイントを使った投資体験で、投資への気軽な入り口として、また株式連動ポイントを使った株主体験で、企業のファン作りの新たなツールとして。金融商品と組み合わせたポイントの活用法が、新たな脚光を浴び始めている。
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