「民泊」が盛り上がる? 欧米の「今」と日本の「これから」:世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)
再び緊急事態宣言に突入した。インバウンド需要はほぼ消滅し、多くの宿泊施設は苦戦しているわけだが、そうした中でもとある民泊は好調だという。どういうことかというと……。
気楽でいい
筆者も仕事でホテルに泊まることは多いが、誰とも接触しないままチェックアウトまでできるスタイルは、コロナ禍でなくても可能性があるように感じた。日本でもロボットがチェックインからチェックアウトまでをしてくれる「変なホテル」が話題になったことがあるし、コロナ禍以前からチェックアウトは自動精算機のタッチスクリーンで行うホテルも少なくない。チェックインの際、フロントスタッフによる丁寧な対応は気持ちがいいが、少しかしこまりすぎるスタッフと接触しないのは、本の言葉を借りれば「気楽でいい」という側面もある。
感染を防ぐ安心感だけではなく、デジタル化やAI化が進むことで、非接触のスタイルはこれからも増えていくだろう。ホテル側も、フロント業務にスタッフが不要になれば、その人材を別の業務にあてることができる。
東京五輪が終了するころになれば、今以上にワクチン接種率も高くなり、人々の行動はどんどん自由になっていく。インバウンドも増えるだろうが、これまで我慢してきた国民のために、そのタイミングで「GoTo トラベル」や「GoTo イート」を、経済回復に向けた起爆剤として投入してもいいのかもしれない。
いずれにせよ、感染が落ちつけば、旅行需要は復活するはずだ。そのとき、民泊はどのように利用されているのか。動向から目が離せない。
筆者プロフィール:
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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