中国、独身の日に並ぶ「618」商戦 日本企業の口コミ数は「ユニクロ」や「資生堂」が上位 戦略は?:約9兆円の取引総額(1/3 ページ)
中国のセールといえば11月11日の独身の日(W11)が有名だが、それと並ぶのが6月18日の「618」だ。中国・星図データによると、今年の「618」の流通取引総額は5784億8000万元(約9兆8720億円)だった。
中国のセールといえば11月11日の独身の日(W11)が有名だが、それと並ぶのが6月18日の「618」だ。2021年で18年目となる恒例の商戦で、EC最大手のアリババ・Tmallをはじめ、京東(JD.com)や中国版TikTok・抖音、快手など多くのプラットフォームが参戦。中国・星図データによると、今年の「618」の流通取引総額は5784億8000万元(約9兆8720億円)だった。
販売競争の中で鍵を握るのが「口コミ」だ。中国は口コミが非常に重要な市場で、多くの消費者が買い物リストを作るために口コミを頼る。これは偽物やデータ改ざんなどによる企業、メディアへの不信が背景的要因で、より身近な人の紹介や、信頼するKOL(Key Opinion Leader、インフルエンサーのこと)のおすすめを重視する傾向が強まった。
中国のオンライン消費者紛争調停プラットフォーム「電訴宝」が発表した6月の苦情レポートによると、苦情理由の上位には製品の品質(2位、8.9%)、虚偽の宣伝(6位、5.2%)、偽造販売(8位、4.8%)などが並んだ。また昨年、ライブ配信には合計2万5500件の苦情があり、そのうち8割近くがライブコマースに関するもので、消費者を駆り立てるための売り文句も理由に上がった。
消費者ビッグデータをもとに越境マーケティング支援を行うトレンドExpressが発表した「618商戦SNS分析データ」からは、口コミの重要性をうかがうことができる。ランキングは中国SNSのウェイボー(Weibo)と小紅書(RED)上から抽出した口コミ件数順になっている。ウェイボーはツイッターに近いミニブログ、小紅書は主に大都市の20〜30代女性が使用する“中国のインスタグラム”だ。
表のランキングは「618」及び「買った」という言葉とともにブランド名が書かれた口コミ数順で、20位中11が化粧品ブランドだった。
この理由をトレンドExpressの濱野智成社長は、「一つは上位の欧米や中国の化粧品メーカーを中心に、話題のタレント活用、キャンペーンなどで『買ったことを自慢したくなる仕掛け』をうまく活用していること。また618に限らず、クリスマスや春節などの季節やイベント限定品を出しながら、その需要や中国消費者のインサイトをうまく取り込んでいる結果ではないか」と考察する。
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