資生堂が撤退したアメニティーに商機 化粧品メーカーの新たな一手とは:コロナ禍の苦境を救う?(1/5 ページ)
化粧品がさまざまな場所で“活躍”している。コンビニのPB商品や、ホテルのアメニティー開発など、化粧品の可能性を広げる取り組みが増えた。
化粧品がさまざまな場所で“活躍”している。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年まで国内の化粧品市場は右肩上がりの成長を続け、売り場を広げてきた。その中で、単に新しい売り場を作るだけでなく、異業種参入やコラボレーションなどの形で化粧品の可能性を広げる取り組みも増えた。
ファンケルのスキンケアシリーズ「mogu(モグ)」は直営店での販売に先駆け、20年9月からローソンで先行販売を実施した。この先行販売について、ファンケルの流通営業本部流通第二営業部の青島稜氏は「ここ10年間で282万人の有職女性が増加したことを背景に、セルフ化粧品市場では時短コスメや無添加コスメ、プチプラコスメが伸長傾向にある。そこで有職女性へのアプローチを強化しているローソンと『mogu』のターゲット像がマッチしたことで先行販売に至った」と語る。
「mogu」のターゲット像は20〜30代を中心とした「自分へのご褒美感やワクワクする要素を重視する“トレンド女子”」。多忙な生活でゆらぎがちな肌のため自然素材やオーガニック系の商品を選ぶ人、日常にちょっとしたご褒美アイテムを求める人を想定している。まさにコンビニスイーツを求めて来店する有職女性層のイメージに近い。
製品はこれまでコンビニコスメの主流だったミニサイズや使い切り商品でなく普段使いサイズなのだが、価格は全品990円と“ちょっとしたご褒美”となる手頃さに設定した。多忙な間でも使い勝手のいい、二度洗顔が不要の「はちみつジェルクレンジング」やオールインワンの「トマトジェルクリーム」が人気商品だという。
関連記事
- バブルの名残 温泉街の「大型施設」が廃墟化 鬼怒川と草津の違いと「大江戸温泉物語」の戦略
コロナ禍がもたらす温泉街への影響は甚大だが、「温泉の魅力」として考えさせられるのが“街づくり”という点だ。筆者は「施設そのもので集客できる強い宿は例外的で、温泉地の魅力自体が集客を左右する」と指摘する。 - 「美白」や「はだいろ」が消える 日本は世界の動きについていけるのか
花王が「美白」表現を取りやめると報じられた。この動きは多様性に配慮したもので国内企業では初めて。しかし世界ではより一歩進んだ動きがみられると筆者は指摘する。 - ファミマのコスメは半年で30万本超の売り上げ セブンやローソンはどう対抗? コンビニが化粧品売り場に力を入れる理由
コンビニの化粧品売り場に異変が……緊急需要を満たす商品から新しいニーズに対応する商品へと変化している。なぜ化粧品売り場に力を入れるのか - “日本一の朝食”を出す函館のホテル 宿泊客数を抑えてまで守ったモノとは?
日本一の朝食と言われるセンチュリーマリーナ函館は、宿泊予約流入をコントロールし“稼働を落とす”ことを指示。宿泊客を減らしてまで実現したかったこととは? - ユニクロ・ワークマン参入で危機 AOKIの“4800円スーツ”は起死回生の一手となるか
リモートワークの普及とともに「常時オフィス出勤」というこれまでの常識が通じない現在、ビジネススーツ業界にも新しい潮流がうまれて来ている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.