中国、独身の日に並ぶ「618」商戦 日本企業の口コミ数は「ユニクロ」や「資生堂」が上位 戦略は?:約9兆円の取引総額(2/3 ページ)
中国のセールといえば11月11日の独身の日(W11)が有名だが、それと並ぶのが6月18日の「618」だ。中国・星図データによると、今年の「618」の流通取引総額は5784億8000万元(約9兆8720億円)だった。
多数のタレント起用で口コミを喚起
濱野社長によると、口コミを生むためには、旬や話題の有名人・タレントの活用、期間限定のキャンペーン(プレゼントやキャンペーン商品)、日常的なファンとのエンゲージの強化の3点が重要なポイントだ。1位の「ロレアル(ロレアル パリ)」はこれらを網羅し、口コミ数だけでなくTmallの「618」美容売り上げランキングでも1位を獲得した。
中国ではブランド全体のアンバサダーだけでなく、商品ごと、カテゴリーごと、またはイベント応援大使など複数のタレントを起用する美容ブランドが多く、ロレアルの「618」ではライブコマースにも複数タレントを招待した。また起用したのは日本でも話題になったオーディション番組「創造営2021」から誕生したボーイズグループ・INTO1のメンバー劉宇ら、今人気絶頂のタレントばかり。トレンドExpress調べでは、「618」及び「直播(ライブ)」「ブランド名」が書かれた投稿数でも「ロレアル」が1位だった。
同様に、日本ブランドより上位に入った中国コスメ「完美日記(Perfect Diary)」も大型芸能人の起用で話題を喚起。さらに濱野社長によると、「商戦前からプライベートな顧客基盤を作り上げてきた結果が顕著に出ている。特に『完美日記』は昨年ニューヨーク市場に上場するなど成長著しく、彼らのWeChatを活用した自社ファンコミュニティーを醸成するマーケティングは、日本メーカーにとって参考になる部分が大きいと思う」という。
「完美日記」はWeChat(チャットを軸とする中国のスーパーアプリ)のグループトークでファンコミュニティーを形成し、顧客と双方向のメッセージのやりとりを行う。SNSを用いたこのような手法を中国では「私域流量(プライベートトラフィック)」と言い、注目のマーケティング手法となっている。
関連記事
- 「巣ごもり」「国産」「Z世代」、中国ネットセールに見る消費の新潮流
も耳にしたことがあるだろう。では「618セール」はどうか。そもそも知られていない「618セール」だが、「中国の消費の成熟を示す新しいトレンドが出てきて面白い」と聞いたため、自身の情報収集も兼ね、今年のトレンドを紹介する。 - よく利用するファストフード店「ハンバーガー」が1位 コロナ禍で利用方法に変化が?
コロナ禍でも大手のハンバーガーチェーンは業績が好調で、新規ハンバーガー業態の出店も相次いでいる。 - 30代女性の転職理由ランキング 「収入」などを抑え1位になったのは?
求人情報サイトを運営するビズヒッツ(三重県鈴鹿市)は、30代で転職した経験がある女性を対象に「転職理由に関する意識調査」を実施した。 - 資生堂が撤退したアメニティーに商機 化粧品メーカーの新たな一手とは
化粧品がさまざまな場所で“活躍”している。コンビニのPB商品や、ホテルのアメニティー開発など、化粧品の可能性を広げる取り組みが増えた。 - 「おじさんCEOライブ」大人気!?……日中企業、ECマーケティングで大差がついた訳
中国で活況のECマーケティング。規模に加えCEOライブなど日本に無い先進性も。日中でなぜ差がついたか、中国マーケティングの専門家に聞く。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.