中国、独身の日に並ぶ「618」商戦 日本企業の口コミ数は「ユニクロ」や「資生堂」が上位 戦略は?:約9兆円の取引総額(3/3 ページ)
中国のセールといえば11月11日の独身の日(W11)が有名だが、それと並ぶのが6月18日の「618」だ。中国・星図データによると、今年の「618」の流通取引総額は5784億8000万元(約9兆8720億円)だった。
日本企業はなぜこの順位?「ユニクロ」「資生堂」が行った施策
ランキングでは日本企業の最上位が「ユニクロ」(15位)、続いて「資生堂」(16位)「コスメデコルテ」(17位)が入った。Tmallではユニクロがファッション靴鞄ランキングで2位に、資生堂は美容ランキングで5位と上位に並んでいる。
ユニクロは「618大セール、良い商品を早く買おう」をキャッチフレーズにキャンペーンを展開した。お得な割引やおまけ、さらにライブコマースでは放送中に豪華プレゼントが当たる抽選を実施。こうした仕掛けはめずらしいものではないが、トレンドExpressによると、「ユニクロファンのために」といったメッセージ表現を用いて発信し、消費者とのエンゲージメントを重視する姿勢を表していたという。また「ポール&ジョー」「呪術廻戦」などコラボ製品の発売日をセール期間中に散りばめ、話題を呼んだ。
資生堂もセール直前に発売した新作スキンケアを目玉に、お得な「618」商戦向けセットの販売を行った。資生堂はこうしたセール企画に加え、前述した「私域流量」に呼び込む活動を実施。WeChatのグループトークへの勧誘のほか、Tmall旗艦店の会員制度へのメンバー登録を促した。例えばTmallでは、指定商品の購入をする会員に向け、アンバサダーの羅雲熙(Leo)とのコラボグッズやボックスを進呈。ファンを中心にSNSで話題が拡散されるとともに、会員獲得効果も狙うものだ。
こうした取り組みにより、商戦はお得な価格で大量販売する“セール”以上の意味を持つものになる。口コミ数には、そうした企業の努力が反映されている。
著者プロフィール
臼井杏奈(うすい あんな/ライター、編集者)
青山学院大学文学部卒業。産経新聞社の記者職を経て、ビューティー業界紙WWD BEAUTYで記者・編集職。2020年4月からフリーランス。中国や欧米などの海外市場やビューティーテック、スタートアップなどを中心に美容・ファッション関連の取材執筆を行う。
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